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【 後日談1 】

「うちのかみさんが、病院でナマエに会ったって言ってたぜ?」
「ナマエに?」
「ああ。何も聞いてねーのか」
「うん…それより、ヨシノさんどっか悪いのかい?」
「いやいや、うちのはコレだ」

シカクはそういって、大きなお腹を表すジェスチャーをしてみせた。な、なんということだ…ついにシカクも父親になるのか!素直におめでとうと告げれば、もしかしたらお前のとこもじゃねーのかと言われ、少しばかり思い当たる節があることに気づく。いや、まさか、そんな、と冷や汗がダラダラ出てくるのがわかる。あの事件の後籍は入れたし何も困ることではないし文字通り自分で蒔いた種なのだが…俺に、人の親なんて務まるのだろうか…と。

「ただいま、ナマエ」
「ミナト!おかえりなさい!」

今日も随分と遅い時間になってしまったにも関わらず、ナマエは起きて待っていてくれた。とてもありがたい話だが、今日のシカクとの会話が思い出されて心配になる。こういう時は自分から言ってくれるのを待った方が良いのだろうか、俺から尋ねても良いのだろうか…

「どうしたの?難しい顔しちゃって」
「え、ああ、ちょっと考え事」
「ふーん?無理しないでね?」
「それはこっちのセリフというかなんというか…」

首をかしげながらキッチンに向かうナマエに意を決して質問をぶつけることにした。

「ねえ、ナマエ、最近体調悪いの?シカクのとこの奥さんが病院でナマエに会ったって…」

あからさまに肩を揺らしたナマエに笑みがこぼれる。わかりやすいな、この子は。

「俺はまだ聞かないほうがいい?」
「いや、あの…全然悪い話じゃないの、むしろいい話…なんだろうけど…その…赤ちゃん、できたの」
「やっぱり!!」
「わかってたの?」
「なんとなくそうだと思ってたんだ!そうかそうか…っ!すごいよナマエ!!」
「そんなに喜んでくれると思わなかった」
「もしかしてそうじゃないかと思った時は俺なんかが人の親なんて務まるのか不安だったけど…ナマエが一緒なら問題ないよね!」
「ありがとうミナト」

ナマエによると、妊娠して既にひと月以上は経っているらしい。順調にいけば十月には生まれるそうだ。

「ヨシノのところは九月が予定日だって。」
「そっか、同級生だね」
「ミコトのところはもうちょっと早いって」
「みんな仲良くなってくれたらいいね」
「うん」
「ナマエはこれから…二人分の命を背負って生きていくんだよね。」
「そうだね」
「ん。俺が何が何でも守るからね。無理しないで。」
「母は強しっていうでしょ?大丈夫よ」
「うーん、ナマエはお母さんになるけど…それ以前に俺の大切な女の子だからなあ。やっぱ心配」
「ふふ、ありがとう」
「これからは俺が遅くなる時は待ってなくていいから、先に寝ててね」
「でも、」
「でもじゃないの。体、大事にして」
「…うん」

ナマエを後ろから抱きしめ、お腹をさする。ああ…ここに、俺たちの赤ちゃんが入っているのか…不思議だ。

「元気な赤ちゃん産むからね」
「うん、楽しみだ」

俺は今、幸せの絶頂にいる。そんな気分だ。