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【 2-16 】

目が覚めると俺は病院にいるようだった。封印によるチャクラ切れと全身に負った怪我の影響により瀕死の重傷のまま木の葉に連れ帰られたらしい。綱手様の話によると、手の施しようがない状態で、あと少しで死ぬ所であったと。

「九尾の封印は無事に完了したそうだ。クシナという女も無事だそうだ。」
「そっか…しかし、さすが伝説の綱手姫ですね。手の施しようがない状態だったのに…助けていただいてありがとうございます。」

俺がそういうと綱手様は目を逸らした。

「その件だが…お前を助けたのは私ではないのだ」
「え?綱手様のよりも優れた医療忍者などこの里には…」
「ナマエだ」
「ナマエが?どうして、あの子は忍でもないし、ましてや医療忍術なんて」
「あいつ…砂の国の禁術とやらでお前を助けたんだ。どうやって禁術を知ったのか…」
「禁術…?」
「己生転生という術で、なんでも術者の命と引き換えに死者を蘇らせるという…あ!ミナト!お前最後まで私の話を!!!」

いてもたってもいられなくなって綱手様の話を最後まで聞かずに部屋を出た。まだ体がズキズキと痛むがそんなこと気にしている暇はない。

部屋を出ると暗部の面々がいた。俺はカカシに駆け寄りナマエの所在を聞いた。

「カカシ!ナマエは!どこ!」
「ミナト先生、ナマエさんは、」
「どこにいるかだけ教えてくれたらいいから!早く!!」

俺の剣幕に押されたのか、カカシは黙って道案内をした。慌ただしく人が出入りしている部屋。ナマエはここにいるというのか…!

「ナマエ…?」

たくさんの管を繋がれ医療忍者に取り囲まれたナマエは、その中心で眠っていた。顔は青白く、まるで生気が感じられなかった。

「ナマエ、ナマエ…!どうして俺なんか助けたんだよ…!」
「先生…ナマエさんは、禁術を使って先生を助けました。先生が目を覚ましたら伝えて欲しいことがある、と。ずっとずっと…愛してる、だそうです…」
「…っ…ナマエ!!」

君がいなきゃ、俺は生きていけないよ…!ナマエ、ナマエ、目を覚まして…っ…頼むよ…。

俺はナマエの冷たい手を握ることしか出来なかった。死んだように眠るナマエの顔を見ることすら出来ず、床を見つめて涙を流すだけだった。

ーーーポン

「もう夜だ。いつまでそうしている」
「綱手様…」
「こいつは里のために必要な火影を、命をかけて救ったんだ…。立派な忍だよ」
「俺は…ナマエのいない世界でなんて生きられない…」
「あの禁術の話だが、術者の命と引き換えに死者を蘇らせる…しかし、相手が死者ではない場合、」
「命は落とさない…ということですか…?」
「恐らく。確証は無いが、今も微弱ながらこいつの生命エネルギーは感じられる。チャクラも残っているようだからな。」
「ナマエ…っ」
「お前もあんまり無理をするなよ。私は隣の部屋にいるから。容体が急変したら呼びな」

綱手様の背中を見送ったあと、立ち上がってナマエの頬を撫でる。
愛しているんだ、心から。生まれた時から一緒にいた君を好きにならないわけがなかった。君のいう前世では悲しませてばかりだったかも知れないけど…今度は俺のそばで幸せになってくれないかい?

ねえナマエ、目を開けて、お願いだよ…。

願いを込めて額にキスを落とした。
ナマエの目から涙がこぼれた。

聞こえているの?ナマエ愛しているよ。目が覚めたら伝えたいことがあるんだ。本当はもっと早くに言いたかったんだけど何だか自信がなくて。でももう迷わないから。君をどんな脅威からも守ると誓うから。

俺と結婚しよう。ね?