×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




【 2-14 】

ミナトが任務に出て二日。
今日はやけに空気が冷たくて、なんだか胸騒ぎがする。きっとミナトがそばにいないことが大きな理由なのだろうけど…。任務内容が気になって仕方ない。この焦燥感はどうしたらいいんだろう…今すぐに会いたい、会わなければいけない気がする。でもミナトは極秘任務だといっていたし聞いたところで教えてくれる人はいないだろう。

「…あ、」

夕方、気を紛らすために山中家で花を買い、オビトくんとリンが眠る場所へやってきた。するとそこには予想通りの先客がいた。

「カカシくん」
「あ、ナマエさん…こんばんは」
「カカシくんはミナトと一緒に任務に行ったんじゃなかったんだね」
「はい。今回は渦の国へのSランク以上の任務になるので少数精鋭で向かうとのことでした。それにナマエさんの護衛も仰せつかったので。」
「ちょっと待って、渦の国?」
「はい。なにか?」
「今回は極秘任務?」
「いえ、特別に極秘というわけでは…」
「じゃあ教えて、ミナトは…どんな任務に、」
「俺も詳しくは……。渦の国が保有している尾獣の人柱力の護衛がメインだと聞いていますが」
「九尾…っ」
「ご存知なんですか」

知ってるなんてもんじゃない、あれの恐ろしさは…ってこんなこと話している場合じゃないんだ。時期が時期なだけに、あの時の忌ま忌ましい出来事が鮮明に思い浮かぶ。

「ナマエさん?」
「私行かなきゃ…っ」
「行くってどこに!もう夜ですよ!」
「ミナトが…死んじゃう…っ」

駆け出そうとした私の腕をカカシくんが捕らえた瞬間、面をつけたミナトの暗部がカカシくんに伝令に訪れた。

「四代目火影様が、危篤です」

ミナトが任務に出る前に愛し合った幸せな記憶が、走馬灯のように脳内を駆け巡る。

………私はまた失うのだろうか。



カカシくんと一緒に木ノ葉病院に駆けつけると、病院の中はひどく慌ただしく、私が過去に見た“あのとき”の木ノ葉病院の風景とよく似ていた。使用中のランプが赤々とついている治療室につくと伝説の三忍の一人である綱手様までもがミナトの治療にあたっていた。

「ミナトのやつ…!一体どんな無理をしたらこんなことになるんだ!」

容体は最悪、といったところだろうか…。呼吸はヒューヒューとか細く、身体は傷だらけ。出血量も尋常じゃなく、本当の意味で“危篤”ということらしい。

「お前がナマエか…!自来也から話は聞いている!人間ってのは聴覚は最後まで残るといわれている。お前の呼びかけがあればこいつは帰ってくるかも知れんぞ!」
「…綱手、さま、」
「狼狽えるな!こいつは…この里の火影だ!簡単には死なん!」
「ミナト、ミナトお願い、帰ってきて」

ミナトのそばにしゃがみ込んで傷だらけの手を握りしめる。でも、冷え切ったミナトの手が、私の手を握り返すことは無かった。

「クソ…っ!ここまでか…」
「ミナト先生!ナマエさんが待ってますよ!」
「四代目!」
「四代目様!!」

各方面からミナトを呼ぶ声が聞こえる。彼はこんなにも必要とされている。こんな所で死なせるべきではない人…

私は意を決して、涙を拭いて立ち上がった。上手くできるかはわからないけど、きっとあの術なら。

「綱手様、あとは…私に任せてくださいませんか…」
「なにを言っている、忍でもないお前になにができるっていうんだ!」
「お願いします…ッ」
「だから、お前になにが…!」

素早く印を結ぶ。この世界で忍として生きてこなかった私でも、前世で得たものはたくさんある。砂の里に伝わるこの禁術だってその一つだ。…私は改めて前世での出会いに感謝した。

「ミナト、きっとね、また…会えるから、あなたは生きて。この里の為に。(……己生転生)」

あの時、貴方を助けられなかったことを後悔したから、今度は後悔なんてしたくない。今まで、こんな私を愛してくれてありがとう、ミナト。