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【 2-10 】

第三次忍界大戦は終結した。
この戦争は多くの犠牲者を生み、多くの者の心に傷を残した。

大切な教え子の三人の内二人を亡くしたミナト、大切な仲間を二人とも失ったカカシくん。この二人は一生癒えることのない大きな傷を心に負ってしまった。

三代目火影は、戦争で多くの犠牲者を出してしまった責任を取り火影の座を辞した。そして、後任に指名されたのは今私の隣にいる波風ミナトであった。

「四代目火影をやってくれないかと」
「そう…ミナトなら大丈夫、やれるよ」
「ナマエ…君には寂しい思いをさせるかも知れない、辛い思いを…大変な思いをさせるかもしれない。でも、これからも俺の傍にいて俺を支えて欲しいんだ」
「私に…できるかなあ…」

私が苦笑してみせると、ミナトは私にキスを落として自慢げにこう言った。

「ん!ナマエにしか無理だからね!」
「じゃあ頑張る」
「ありがとう」

ミナトにとって私の存在が少しでも救いになっていればいいのになあと思った。

「俺には君がいる…でも、問題はカカシだよ」
「カカシくん?」
「ああ…オビトを救えなかった、そして仕方がなかったとはいえリンを自らの手にかけてしまった。彼の心の闇は…相当なものだ」

オビトくんは神無毘橋の戦いで命を落とし、そのあとリンも亡くなった。クシナがこの世にいないこと、私がミナトの隣にいること、前の世界と違うのはクシナと私にまつわることだけなのか。もしかするとこの世界ではオビトくんとリンの命は助かるのではないかと一瞬でも期待してしまったが為に、彼らの死は私の心にも重くのしかかるのだった。


四代目火影任命式も無事に終わり、ミナトは誰もが認める火影となった。里の民から慕われ、愛される火影、それがミナトだ。
順風満帆に見える火影としてのミナトの生活だったが、彼にも悩みはあったようだ。それはカカシくんの存在。カカシくんの心に巣食う闇は、師であるミナトであっても取り払うことはできず、彼が常に頭を悩ませる原因となっていた。

「出来るだけカカシをそばに置いておいた方が良いと思って彼を火影直轄の暗部に入れたんだけど…果たして俺の選択が正しかったのかどうか」
「それは私にもわからないけど…それでも、カカシくんがミナトの存在に救われているのは事実だと思うよ」

私が過去に見てきた彼がそうであったように。

「そうだったら良いんだけどなあ」
「自信持って!火影がそんなんだと、火影に着いていかなきゃならない里の忍たちが戸惑っちゃうよ」
「ん。そうだよね。俺がしっかりしなきゃ」

不安そうに泳いでいたミナトの碧い瞳だったが、それが一瞬にして力強い眼差しに変わった。どこまでも着いて行きたくなるような、自信に溢れたミナトの瞳。私が大好きな碧い瞳。

「どうしたの?ボーッとしちゃって」
「え?いや、なんでもない」
「うそでしょ、教えてよ。君が思ってることは全部知りたい」
「いや、ただ…ミナトの瞳…好きだなって思っただけだよ」
「瞳…だけ?」
「ううん、口も鼻も手も足も傷だらけのお腹も背中も全部大好き」
「俺も。君の全てが好き」

ミナトが私を抱き寄せ、私が大好きな声で愛してると囁いた。愛されるということが、こんなにも幸せだったなんて。

愛される喜びを知った私は、それと同時に愛を失う恐怖を知った。