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【 2-7 】

甘栗甘での仕事が終わった頃、いつもの行商人さんが訪ねてきた。今日もお団子ですか?と声を掛けると、今日はあなたに用があって…ここでは話しにくいので外にでませんか?と言われた。一見悪い人には見えないけれど、なぜか裏があるように思えて。でもお客さんだから無下に扱うことも出来ずに、ミナトに貰ったお守り代わりのクナイを持っていることを確認してついて行くことにした。

(私だって元上忍だ。なにかあればそれなりの対応はできるはず。)

行商人の彼はちょっと見せたいものがあるから着いてきてくれといった。仕方なく後ろを歩きつづけると、いつの間にか里の境界。…怪しい。彼の好意にまるで気づいていなかった訳ではないが、私を連れ出した理由がそれだけでは無い気がする。

「あ」
「この間お渡しした花はここで摘んだんです。今の時期はこの波の国の入口にしか咲いていなくて」
「そうだったんですね、綺麗」

黄色い元気な花びらがミナトの髪を思わせる。
ふふ、素敵な花。

「ナマエさんはこの花が好きですか?」
「ええ、私の好きな人を思い出します」
「そうか、あなたには既に想い人が。あなたは役に立つと思ったのに…」

彼の目付きが変わった。これはやっぱりただの行商人じゃないな。そう思いミナトのクナイを構えた瞬間、目の前にミナトが現れた。異変を察知し、飛雷神のクナイで飛んだのだそうだ。それからミナトはあっという間に敵を倒し、武器商人であった彼を手際良く暗部に引き渡した。

「怪我はない?」
「うん、ありがとう」
「しかし…どうして君も着いて行ったりしたの」
「何と無くね、普通じゃない気がして正体を知りたかったの。それなりの対応はできると思ってたけどミナトが来てくれて良かった」
「ナマエは忍じゃないんだから…そんな危険を侵すようなマネしないで。俺がどんなに心配したか」
「ごめんね」

今回はミナトの言うとおりなのだろう。私は彼があんな武器を隠し持っていたことには気づいていなかったし、対応が遅れればきっと死んでいた。

「助けてくれてありがとう。かっこよかったよ」
「え!…そんな、照れるなあ」

久々に黄色い閃光の戦闘をみた。昔と何も変わらないあまりにも鮮やかな戦いっぷりだった。やはりこの人は火影になる人なのだなあ…と再認識したと同時に、あの事件を思い出して苦しくなった。

「ねえナマエ、やっぱり君にマーキングさせてくれない?」
「マーキングなんてしなくても私は何処へもいかないよ?」
「だめ?」
「…ダメじゃないけど」

なんとなく、私はミナトのマーキングを断り続けていた。完全にミナトの手中に収まってしまうのが怖かったのかもしれない。

……もうすでに私の気持ちは戻れないところまできているというのに。