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好いた水仙好かれた柳

直情的で口は悪いが、仕事には誰よりも熱心で、上司からも部下からも信頼されている。それが私の夫である松田陣平だ。彼の学友によると学生時代からとにかくモテてきたそうだが、なぜか最終的に私を選び、とても真っ直ぐに愛を与えてくれている。

ここ最近は仕事が忙しく長い間警視庁に泊まり込んでいた彼だったが、ようやく担当していた案件が解決したらしく久しぶりに家に帰ってきたのは昨夜の話。

今日は帰れそうだから名前の手料理が食べたいと昼のうちにSNSの通知が来ていたので、それはもう張り切って準備をした。

オムライスに鶏の唐揚げ、ミモザサラダ、カプレーゼ、かぶのポタージュスープ。さすがに作りすぎたかなと思ったが、彼は目を輝かせて全てきれいに平らげてくれた。

私が洗い物をしている間にシャワーを浴び終え、髪の毛を十分に乾かさないまま戻ってきた彼は甘えるように後ろから私を抱きしめた。

「美味かった。片付けありがとな」
「お疲れ様です。もっとゆっくりしてきて良かったのに」
「ん。今は久しぶりの名前を堪能したい」

なんだか硬いものがお尻に当たっている気がするなあ。

「陣くん、私もお風呂に入ってからがいい」
「わかってる。生理現象だからあんまり気にするな」

そういう割に手は胸を触っているし、相変わらず硬いソレはお尻に押し当てられている。しかし久しぶりのこういうじゃれ合いは嬉しいし、優しい彼は私がお風呂から上がるまではちゃんと待ってくれることがわかっているので、しばらくされるがままを楽しんだ。

お風呂から上がり寝支度が整うと二人でベッドに横になった。彼はすでに上半身裸だ。暖かい素肌にすりよると嬉しそうに目を細め私の服に手を差し込んだ。少し冷たいそれに体をびくりと震わせると悪いと言いながらもニヤリと笑い行為を続行した。





かなり久しぶりだった陣くんとのセックスは中々終わらなかった。何度気をやったかも思い出せず体が怠くて仕方ない。けれども裸のまま私を抱きしめ幸せそうに眠る彼を見れば、そんな怠ささえも忘れてしまえるほど幸せな気分だ。

「ん…おはよう。大丈夫か?」
「うん。平気だよ」
「無理させちまったな」
「確かにすごかったね」
「久しぶりだったからついはしゃいじまった」

彼は照れ臭そうにそう言うと、私の額に口付けた。

「飯は俺が準備するからゆっくりしとけ」
「ありがとう。でも手伝うよ」

陣くんはセックスのあとは特に優しい。
きっとセックスをしたがったのは自分で、私にそれを付き合わせていると思っているのだろう。一般的に見れば男性の方が性欲は強いというし、それは間違いではないのだろうが、私だって大好きな人とセックスしたいと思うのは同じ気持ちだ。彼が後ろめたく思う必要なんてどこにもないのに、といつも思う。

彼の作るご飯は美味しいし申し出は嬉しいが、私はまだ一緒にいたい。そう思うから体を起こそうとしたとき、下腹部からアレが流れ出るのがわかった。

「あ、」
「どうした?」
「ティッシュとって」

私がそう言うと陣くんは察して素早くティッシュを取ってくれたが、それが私の手に渡ることはなく。

「え、自分でするからいいよ」
「元はと言えば俺が出したんだから」
「それはそうだけどちょっと恥ずかしい」
「昨日はしすぎた。悪い」
「私陣くんとのセックス好きだよ」
「……勃ちそうだからやめろ」

我慢してんのに。と言いながら顔を赤くして流れ出てきた精子を拭ってくれる。毎回ああもったいないなぁと思ってしまう私は、どれだけ彼のことが好きなんだろうと自分で自分がおかしくなってしまう。

「なに笑ってんの?」
「もったいないなぁと思って」
「なにが?」
「せっかく陣くんが中に出してくれたのにこうやって流れ出ていっちゃうのが」
「……名前ってセックスのあとめっちゃエロいよな」
「そう?」
「だから休みの前の日しか抱けねえんだよ。こんなエロい顔して仕事に行かれちゃたまんねえから」
「全然そんなつもりないけどな」
「そんなつもりなくてもお前はエロい」
「陣くんにそう思われてるのは良いことかな」
「俺以外が名前のエロさ知ってたら大問題だよ」

陣くんは耳を赤くしたまま苦笑いをしてあと処理を続行し、我慢できなくなるから寝てろよと言って背を向けた。私はキッチンに向かう彼を見送って、言いつけ通りにご飯ができるまでの間ベッドでのんびりさせてもらうことにした。下着のみを身に纏って気怠げに歩く後ろ姿は随分とセクシーで、あの体に抱かれていたかと思うと先ほど彼が拭ってくれたものとは違うものが伝って出てきているような気がした。


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