クリスマスの過ごし方

何がクリスマスだ。節電節電って毎日誰かが言っているのにこの煌びやかなイルミネーションは何なんだ。全国各地のこれこそ電力の無駄遣いじゃないのか。…って今の私が何を言っても負け犬の遠吠えにしか聞こえないのだろうから寂しいものだ。

最近彼氏が出来たらしい後輩から仕事を押し付けられ、クリスマス気分を味わうこともなく夜を迎えてしまった。そんな私でも、一応綺麗なものには目がいってしまう訳で…こうやってイルミネーションに彩られた街を眺めているわけだ。

「…一人寂しくイルミネーションを眺めている可哀相な女がいると思ったら君か。」
「…あんたは相変わらず一人なのね」
「君と一緒にしないでよ、名前。俺は自らの意思で一人で居るんだ。」
「そうやって強がっちゃって。相変わらずなのねー」
「久々に会った友人に言う言葉じゃないよ、それ」
「お互い様でしょ?久々に会うシチュエーションとしては最悪だよ。」
「それは言えてる。…一応聞くけど、これからどうするの?」
「家に帰ってお風呂に入って寝る」
「クリスマスなのに?」
「クリスマスなのに。…うるさいな、彼氏もいないのに誰と過ごせっていうの」
「まぁ…俺も仕事終わりで予定が無いよ、とでも言っておこうか」
「私が臨也と?えー…ないでしょ、それは」
「別に何があっても良いじゃない。暇なんでしょ?付き合ってよ」
「臨也がそこまで言うなら付き合ってあげても良いよ」
「随分と上からだね」
「寂しいんなら素直に言いなさいよ」
「君こそ」

人肌が恋しくなるこの時期は恋人が出来る確率が高くなるらしい。…とはいっても、今回は相手が相手なだけにそれはないだろうと思う。

「私お酒入ると甘えるかもよ」
「いいよ、たまには」
「間違いが起こらないとも言えないよ」
「その時は責任取るよ、とでも言えば良い?」
「冗談だよ」
「知ってる」
「臨也、」
「なに?」
「飲みに行こうか」
「最初からそう言ってるじゃない」
「寂しいんだもん」
「はいはい」

―――手を握られ、嫌な気がしなかったのは寂しさのせいだろうか。


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