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将軍様がキャバクラ遊びをしたいらしい。というよりも、松平長官様が将軍様に夜遊びをご教示したいそうだ。そこでお妙ちゃんがいるスナックすまいるに将軍様をお連れすることになったらしいのだが…なんとこんな時に限ってキャバ嬢がみんな風邪で寝込んでしまったらしい。

「ナマエさん、お願いがあるの…」

お妙ちゃんから連絡があったのがほんの数分前。将軍様をお出迎えするのにどうしても人数が足りないから今日一日働いてくれないかとのことだった。先日の局長の結婚式ではお妙ちゃんに救われた。だから私はお礼を兼ねて、二つ返事で了承したのだった。

「副長…お妙ちゃんからだったんですけど、今日将軍様が行く予定のキャバクラが人手不足だから手伝ってくれないかって」
「は?」
「いやだから、キャバ嬢を」
「お前が?キャバ嬢?ダメだダメだ。絶対ダメだ。アホか。バカだろ。ダメに決まってる」
「将軍様をおもてなしする為なのに?人手不足のままで良いんですかね」
「ナマエくんがキャバ嬢か〜。すぐに客がつくだろうな。将軍様も惚れたりして」
「絶対ダメだ!」
「男の嫉妬は見苦しいですねィ土方さん。ナマエさんならまた志村姉から電話があって出て行きやしたぜ?俺らもそろそろ警護の時間でさァ」
「あの野郎…勝手しやがって」

お妙ちゃんに言われた通りすまいるに入ると、何故か女装した銀時と新八くんがいた。あとケバすぎる化粧をした神楽ちゃんとSMプレイ中かと思われる謎の美女。え?こんなメンツで将軍様をおもてなしする気?

「お妙ちゃん、これ何」
「色々タイミング悪くて、こんなのしか集まらなかったんです」
「銀時…いくらなんでもそれは」
「お願い見なかったことにして300円あげるから」
「ナマエさんも、着替えましょ」

お妙ちゃんに連れられて控え室に向かうと煌びやかなドレスや着物が数多く並んでいた。あまり時間がない為サッと着替えられるドレスを身につける。

「お妙ちゃん、これ派手すぎない?」
「ナマエさん…!すごく綺麗!銀さんなんかに見せるの勿体無いくらい!」

適当に取って身にまとったドレスだが、結構胸元が開いているしラインが出てしまう。うーん…本当に大丈夫かな、将軍様のお目汚しになってしまうんじゃないか。

「みなさーん、ナマエさんの着替え終わりましたよ」
「「「!!!」」」
「え、やだなんか言ってよ」
「お前、アレだな…着痩せすんだな」
「乳でっけーアルな」
「恥ずかしいから見ないで…」

こんなやりとりをしていると真選組のみんながやってきた。できるだけ見られないように陰に隠れて様子を伺う。

「あれ、ナマエさんどこでィ」
「隠れてやがるな。連れて帰ろうと思ったのによォ。あとで覚えてやがれ」
「だから男の嫉妬は見苦しいでさァ。あ、いた」
「なに!?」

悪魔が降臨した。沖田くんがニヤニヤと近寄ってきて私の腕をガシッと掴む。

「旦那様があんたをお探しでィ」
「や、ちょっと!恥ずかしいんだって…!…副長…見ないでくださいよ…」

咥えていたタバコをポトッと落とし、顔を赤くした副長に、こちらまで赤面してしまう。副長はジャケットを脱ぐとそれを私の肩にかけた。

「将軍の為だ。譲歩してやるが…絶対脱ぐなよ、わかったな」
「…はい」

こうして私の一日キャバ嬢が始まったのである。

「将軍だれだ」

悪魔のようなゲームが始まったのが数分前。所謂王様ゲームなのだが、皆将軍様の為を思って出す命令がどれもこれも逆効果…。将軍様はいつの間にか素っ裸だ。

「ナマエは見るんじゃありません」

銀時から目隠しをされ、将軍様の将軍を見なくて済んだが…きっと凄惨な現場になっているのであろう。

「五番の人はトランクスを買ってきなさい」

SM美人さんからの命令がくだった直後、将軍様が外に駆け出した。
ああ…五番…将軍かよ…

「お前はこれ以上ついてこなくていいから。土方くんこれ返す」

銀時に背中を突き飛ばされ、目の前にいた副長の胸に飛び込んだ。

「ひゃっ!」
「っと!ナマエ大丈夫か、あれどうなってんだよ」
「はは…将軍ゲームの成れの果てっていうか、なんやかんやで将軍様が全裸になって自分でパンツ買いに行く羽目に」
「テメェがいながら将軍になんてことさせてやがんだよ!」
「すみません…!私…首飛びますかね」
「…さすがにそこまで…ないとは言えないか」

私だって将軍様にお酌して静かに飲むだけだと思ってたけど、あのメンツじゃ無理でした!

「って冗談だよ。約束守ったんだろうな」
「ちゃんと着てましたよ」
「ならいい」
「副長、タバコの本数減らしたらどうですか?めっちゃ臭います」
「どっかの誰かみたいに加齢臭してるよりいいだろ」
「トシそれ俺じゃないよね!?」
「…これ、ありがとうございました」
「バカ!脱ぐな」

副長にジャケットを返すと、再び赤面されてしまった。女慣れしている筈なのにどうしてこんなリアクションなのか。

「本命には余裕なくなるタイプなんだろィ」
「何が今更本命だよ。嫁だっつーの!」
「裸の一つも見たことねェくせに」
「見るかボケ」
「俺は見たことありやすぜィ」
「「は!?」」
「冗談でさァ」

ケラケラと笑う沖田くんの頭上に副長の拳が振り下ろされる。

将軍様の夜遊びは、突如護衛用の戦車に向かってきたキャバ嬢の集団の襲撃による大爆発と共に幕を下ろしたのだった。

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