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縁側に腰掛けて土方くんにどのタイミングで伝えようかと思い悩む。ここにとどまれる時間がそう長くはないような気がするから、早く言わなければならない。沖田くんとも約束をしたのだから。

しかし…言ったところでどうなるんだろう。土方くんからしてみれば厄介者が一人いなくなるだけじゃないか。私はどうしてほしいのだろうか。消えずにいられる方法は見つからなかったし、引き留めて欲しいわけではない。どちらかというと私自身元の世界に戻りたい気持ちの方が強い。だったら、でも、

(ーーー少しだけ、寂しいのかも)

私にとってはやっぱり学生生活を共にした土方くんが一番だけど、ここの土方くんのことを嫌いになんてなれるわけがなかった。似てるようで似てなくて、それでもやっぱり土方くんは土方くんだったから。恋愛感情を向けているわけではないけれど、もう二度と会えないとなるとちょっとだけ寂しい。

「はあー…だからどうするのよ私」
「デッケーため息だな」
「げ、土方くん」
「んだよ」

私の隣に腰掛けた土方くんはジャケットを脱いでいつもより少しだけラフな格好をしていた。休憩?と聞くと、少しだけな。と返ってきた。

「なあ」
「はい」
「言いたくねェなら無理に聞かねェけどよ、悩み事あるんだったら話した方が楽なんじゃねェの」
「…」
「総悟の方が良いってんなら俺じゃなくて総悟でもいいから。無理すんな」

やっぱり優しいんだな…土方くんは。思いがけない優しさに少しだけ涙が滲んだ。

伝えよう、今しかないよ。

「あのね、土方くん」

別れの時はすぐそこだ。


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