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「おおおおお沖田くーん!!!」
「なんでィ。」
「見てこれヤバイ」
「お前そろそろ透明人間になれんじゃね?」

もう何度目かもわからない体が透ける現象。透けるたびに沖田君の元へ走り助けを求めてきたが、沖田君が言うようにそろそろマジでヤバイ。段々透ける範囲が広くなってきて全身透明人間になりそう。時間が経てば元に戻りはするが、元に戻るまでの時間も長くなってきている。きっとこのまま行けば、いつか私はこの世界から消えていなくなるんだろう。そうなる前にきちんと土方君にも伝えなきゃいけないし、みんなに挨拶もしなきゃいけない。わかってはいるけどやっぱり怖くて仕方ない。

「なァ、潮時じゃねーの?」
「…うん」
「散々治す方法も調べたけど何も無かったじゃねェかィ」
「…うん」
「あの人にも、心の準備は必要だと思うぜィ」
「土方くんは……私みたいな小娘一人いなくなって困るような人じゃないでしょ」
「お前には言わずにおこうと思ったけど…あの人は昔大切な人を亡くしてるんでィ」

土方君や沖田君が武州という彼等の地元にいた頃から、土方君には想いあっていた女性がいたそうだ。患っていた病気が悪化し、亡くなってしまったらしい。

前に恋人がいるのかと聞いたときに、土方君がとっても寂しそうな顔をしていたのはそういう理由があってのことだったのか。そう思うと胸が痛んだ。

「あの人が元気ねェと、真選組の士気が下がるんでねィ。近い内に全部話してやんな」
「……そうするね」

沖田君は私の頭をポンと一撫でして出て行った。


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