×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

私はあれから高杉くんにもらった着物に袖を通していない。なぜなら…だってなんか土方くんのこと思い出しちゃって照れるんだもんバカ!!!

与えられた部屋で顔面を両手で覆い一人でゴロゴロ転がって悶えている様子を、障子の隙間から沖田くんがニヤっと笑いながら見ていたことなんて気づくわけもなかった。

はあ…散歩してこよう。
こちらの世界に来たときに身につけていた制服姿で町に出ると、町中着物を身につけた人ばかりで、やっぱりここは異世界なのだなあと痛感する。いつになったらあっちの世界に戻れるのだろう。

そんなことを思いながらボーッと歩いていたのがいけなかった。通行人と肩がぶつかって、咄嗟にすみませんと顔を上げたが、目の前にいる柄の悪そうなお兄さんは許してくれそうにはなかった。この時ばかりはさすがに自分の巻き込まれ体質に気づき、恨んだ。

「すすすすすみませんボーッとしてて!!!」
「お嬢ちゃん、ごめんですんだら警察いらないじゃん?」
「いや、でも、怪我とかされてないですよね?」
「あーいててて…これアレだな、肩がアレだよマジで。病院行かなきゃなあ…金かかるわ。どうしてくれんの」
「そんなベタな」
「ああ?文句あんの?病院代くれよ。」
「こんなか弱い少女にたかるなんて良くないですお兄さん」
「テメェなめてんじゃねえぞ」
「いた!」

勢い良く突き飛ばされスカートの下のむき出しの足を擦りむいた。なんだよそんな力出るんだったらぶつかった方の肩どうもしてないじゃん!思わずお兄さんを睨みつけると、今度はお兄さんが更に私を睨みつけた。やっべ、詰んだわこれ。

「嬢ちゃん、発育がちと足りねぇけどよ。うちちょっと人手不足なんだわ。病院代払えねぇなら働くしかねぇよな」
「えー、お家に帰ったらお金あるから払いますう」
「帰すか!バカかてめェ」
「バカはないでしょ!大体そんな力で突き飛ばせるんだったらぶつかった肩もどうもしてないじゃん!嘘つき!知ってたけど!!!」
「あーやべーさっきのでさらに脱臼したわー。見てこの腕ぷらんぷらんじゃん」
「死ね!」

あああああもう埒があかない!!誰か助けてくれないかな!!もう!!


prev | next