「土方くん着付けできるんだね!」
「まあいつも着てるしな」

あれから土方くんは少しだけ近藤くんたちと会議をしたあと、約束通り着物を着せてくれた。とても手際が良くて、彼の器用さがにじみ出ていた。

「髪は?あげんのか?」
「そんなことまで出来るの?まさか昔の彼女の髪を…とか…」
「そんなんじゃねェよ。結ぶだけならな、俺も昔長かったし」
「へー!そうなんだ!見てみたかったなあ〜」
「見たところで何の得にもなんねェよ」

土方くんは器用に私の髪をまとめ上げ、綺麗な紐でくくってくれた。ところでこの髪紐は?

「近藤さんからお前へのプレゼントだそうだ。」
「ほんと!?お礼言わなきゃ!」
「ああ。ついでに着物も見せてやれよ。あの人喜ぶと思うぞ」
「うん、行ってくるね!土方くん着付けありがとう!」
「ナマエ、」
「ん?」
「あー…その、なんだ。似合ってるぞ」
「!?……あ、ありがとう」

土方くんがあまりにも優しく笑うから、私は何だか恥ずかしくなって急いで部屋を飛び出した。なにこれドキドキする…!

「近藤くーん!!!」
「お!着せてもらったのか!着物姿もかわいいなァ!」
「髪紐とっても可愛いです!ありがとう!」
「よく似合ってるよ。またトシに結んでもらうんだぞ」
「え!土方くん!?わ、わかった!がんばります!!」
「(がんばる?)」

こっちの土方くんはあくまでも真選組の土方くんで、私の彼氏の土方くんではないと頭では理解していても、惹かれていることには間違い無いのだ。次どんな顔で会えば良いのだろう…。


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