【 昨日の温もりだけでもいい 】

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「ん……?朝?」

目が覚めると同時に頭痛と吐き気に襲われた。ああ…二日酔いするまで飲むなんて忍失格だ…。そんなことを思いながら体を起こそうと試みるも、しっかりと抱きしめられていたためそれは叶わなかった。朝までカカシと共にいたのは初めてだ。

「カカシ、」

カカシの目の傷に触れる。

カカシも色んなものを抱えている。
私の苦しみより、もっともっと大きなものを。

そんな彼に縋るなんて、私はなんて残酷なことをしているのだろう。気付いた所で今更カカシから離れるなんて出来るわけもなく、私はただ彼の優しさを利用して甘えているのだった。

「ナマエ…どうしたの?」

「なんでもない。おはよう」

「おはよ。お前が朝までここに居たのは初めてだね」

「そうね。何だか久々に安心して眠れた気がする」

「俺の腕で良かったらいつでも貸すよ」

「そんなこといって私を甘やかすと後悔するわよ」

「お前のわがままなら何でも聞くよ」

そういったカカシの表情は、なんとなく寂しそうだった。

「カカシ、あのね」

「ん?なに?」

カカシも寂しいから私を抱くの?
そう聞きたかったけれど、何となく口にできなかった。