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「やっぱり手荒れはつきもんなのか?」

一瞬俺の質問の意図がわからなかったようで、首をかしげたナマエだが、俺の視線が自分の手にあることに気づき、慌ててその手をさすって見せた。

「そうなんですよ、みっともないでしょう?もうちょっと女性らしい手に憧れているんですけどね」

職業柄仕方ないんでしょうね、そう言って目を伏せた。俺は余計な発言をしてしまったようだ。

「気にすることはねェよ。働きもんの立派な手だ」

「ありがとうございます」

「何の苦労も知らずに飾り気たっぷりの手よりも俺ァお前の手の方が好きだ」

「土方さんにそう言って頂けるなら頑張り甲斐がありますね」

なんとかフォロー出来たようで助かった。
それから暫くナマエと話しをした。かれこれ1時間弱だろうか。さーて、そろそろ屯所にもどるかな・・・

「じゃあ。そろそろ帰るか」

「そうですね、お引き留めしてすみません」

「いや、助かった。親父!勘定頼む」

「へいよ!旦那」

「あ、こいつの分も一緒につけてくれ」

「土方さん!私のは良いですよ!私がお誘いしたんだから!」

「良いから良いから。こういう時は男を立てるもんだぜ?」

「・・・すみません」

「毎度あり!」

「ごちそうさん」

さっさと財布をしまって店を出ると、ナマエが駆け寄ってきた。

「土方さんすみません、私からお誘いしたのに奢ってもらっちゃって」

「いや、お前のおかげでいい気分転換になった。ほんのお礼だよ」

「ありがとうございます」

「また店に寄るから親父にもよろしく伝えといてくれや」

「はい、お待ちしております」

「じゃあな」

控え目に手を振るナマエに別れを告げて帰路についた。今度女中にでも手荒れにいいもん聞いとくとするか。


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