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「これ、やるよ」

「どうしたんです?これ」

「うちの女中が手荒れにゃコレが良いって言ってたんだよ。たまたま見つけたからな、たまたま」

「そんな、わざわざ買って来てくださったんですか…ありがとうございます」

「たまたまだっつってんだろ」

「ふふ、すみません」

市中見回りの最中、ドラッグストアの店頭で女中が言ってたハンドクリームを見つけた。あらやだ土方さん私に下さるんですか?嬉しいですとくっしゃくしゃの顔で笑ってた女中のババアの顔が浮かんだがブンブンと頭を振って掻き消した。

ナマエに買ってってやるか。とそれを一つだけレジに持って行って会計をした。あいつは喜ぶだろうか、申し訳ないと困った顔をするだろうか。

「土方さん、私の手荒れ気にしてくださってたんですか?」

「たまたまだ」

「この間から休憩に付き合って頂いたりすみません」

「謝らなくていいんだよ。俺が勝手にやってるだけだ」

「大切にしますね、これ」

「いや、使ってくれどうせなら」

「そうですね、ふふ」

柄にもねェことしちまったから不意に照れ臭くなった。まあ、たまにはいいか。


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