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喧騒から少し遠ざかった、メインホールの脇にあるバルコニー。小さめのベンチに腰掛けると、土方さんがお水をくれた。

「酔いを覚ましましょう。アルコールには慣れていないはずですから」

「土方さん…っ…」

「泣いていらっしゃるのですか!?」

「私、嬉しくて…」

「うれしい…?」

お姉ちゃんは、昔から一本の芯をしっかりと持った人だった。頑固で自分の考えは絶対に曲げないけれど、彼女の意見が間違っていたことは一度もない。私はそんなお姉ちゃんについて行くだけだった。自分の幸せなんか考えずにいつでも私を優先してくれるお姉ちゃんに、申し訳ないと思いながらも私は甘えることしかできなかったのだ。

そんなお姉ちゃんが自分の幸せを見つけてくれたことが何より嬉しくて、こんな素敵な時間を共にすることが出来たことが何よりも嬉しい。

「私がいるせいでお姉ちゃんが幸せになれなかったらどうしよう、っていつも思ってた…っ」

「お嬢様…」

「私がお姉ちゃんの人生を台無しにしちゃうんじゃないかって」

「………」

「お姉ちゃんが幸せになってくれたらそれだけでよかったのに、お姉ちゃんは私も一緒に幸せにしてくれて、」

「一緒に、ですか?」

「お姉ちゃんがいなかったらこんな風に土方さんや総悟君にも会えなかった」

「お嬢様は…この屋敷に来たことを後悔してはいないのですか?自らの意思とは関係なく、私なんかと時を共にすることになって…」

「初めは戸惑ったけど…今はとっても幸せ。」

「それを聞いて安心しました」

「土方さんは?」

「私もとても幸せですよ、お嬢様とこうやって一緒に居られるのは」

「本当かなぁ…」

「本当ですとも」

土方さんは私の体をそっと引き寄せて額にキスを落とした、

「あ、あの…」

「すみません…っ…!私も少し…酔ってしまったようです」

そう言ってはにかむ土方さんに心臓がドキドキするのを感じたのはお酒のせいだろうか

「土方さん、あの…もう少しくっついててもいいですか?」

「あ…はい、」

やっぱり私も少し酔っているみたいだ。

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