「駄目だ。」
『なんでよっ!?』
三蔵はいつもそうだ。あたしが何かしたいと言えば、すぐ否定する。悟空やリクにはそんなこと言わないのに。
『あたし強いよ?』
なんて言っても、心配なのか首をなかなか縦には振らない。
嬉しい反面、もう少し自由にさせてほしいなんて思ったりもする。
あたしがむすっとしていると、三蔵は大きく息をついて、仕方なしに近づいてきた。その瞬間、ふわりと香る煙草の香り。
ぎゅっと抱きしめられると、何も言えなくなってしまうから卑怯だ。
「…一人は駄目だ。誰か連れて行け。」
『ふふっ…。わかったv』
なんだかんだで最後はこうして了承してくれるところは、なんだかお父さんみたいでくすぐったい。
けど甘ったるいスイーツをいっぱい食べたり、変に負けず嫌いだったりするところは、まるで子どもみたいだとも思う。
普段仏頂面のくせに、意外ところころ変わるところも結構面白い。
ここに来て、三蔵に会えてよかったと思ったことは多々あるけど、それは一度も告げたことはない。
だって言ってしまったら、父様や母様みたいにいなくなっちゃうかもしれないでしょ?
だから言わない、言えない。
もう失いたくないから。
愛のかたまり
(今だけを見て生きていければいいのに)
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