「1年も会えねぇのか!?」

『毎年見てる気がする、この反応。』


呆れたように笑うハルは驚くナツを横目に空を見上げる。

今日は七夕。生憎天気はあまりよくはなく、ところどころ星は雲に見え隠れしていた。




『んー。雨は降らないみたいだけど、見るのは無理そうかなー』

「何をだ?」

『さっき話したじゃん。天の川だよ、天の川!』


ナツも同じく空を見上げて「見えねぇな…」と呟く。



『残念、また来年かー…』

大きなため息をつくハルに再びナツが首をかしげた。


「なんでハルがそんな残念がるんだよ」

『今日って、アイスリーヌがいなくなっちゃった日だよ!』

「………」



極めて明るく言ったハルにナツは、はっと目を見開く。空を見上げる彼女の横顔は、何かを諦めたようにみえた。


『彦星と織姫が会えたらなんとなく、あたしもアイスリーヌと会えるんじゃないかって勝手に思ってたからさ。』


















「雲の上で会えてんじゃねぇのか」

『…え?』


隣で同じように空を見上げるナツの一言に、きょとんと目をまるくする。



「ハルの話し通りなら、雨が降ってねぇんだし彦星と織姫が渡る川は洪水じゃねぇだろ。」

『…そうだけど』

「何とかっつう鳥がちゃんと橋つくってくれたんだろ。…勝手な考えでおまえが諦めんな。」


自身へ向けられたまっすぐな視線にぐっと口を閉ざす。もっともな言い分に何も言い返せないでいると、突然彼の視線が挙動不審に泳ぎ始めた。




「それに、1年間会えねぇで…また1年も会えねぇとか、耐えれねぇだろ。」

『…ナツ?』


「おれは1年もハルに会えねぇとか考えられねぇ!」



きっぱりと言いきるナツに、再びハルの瞳はまるくなる。




「大体ハルがs級で3ヶ月いねぇだけで、結構…」


『ぷっ…あはは』



声をあげて笑うハルにナツは恥ずかしがりながらも怒る。


『ナツは寂しがり屋だねー!あたし以上だよっ』

けらけらと笑いつつ、ナツの肩をぺしぺしと叩く。そんなハルはどこか嬉しそうで、ナツもつられて笑みを浮かべた。




『そうだね。雲の上で会えてんだから、あたしたちも会えるよね!』

「あぁ」

『それと…』


笑いながら踵を返すハル。






『これからはずっと一緒だから大丈夫だよ?』



振り向くハルのいたずらな笑みにナツの顔はぼっと赤くなったのだった。








想いは積もる一方
(一緒にいても積もるのに)




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最初はグレイで書いたんですけどね…

どうしても口調がナツに見えて仕方なくて(笑)






 


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