鬼畜狼と蜂蜜ハニー里桜編 | ナノ


  担任はご主人様


☆担任はご主人様。

「おせぇ…」

告げられた言葉通り、数学準備室のドアを開けると、そこには鈴と里桜の担任・小早川疾風が不機嫌そうに壁に寄り掛かって佇んでいた。
ただ突っ立っているのに、何故か絵になるのは…はっきり言って同じ男として羨ましい。


 180センチの長身、長い脚、まるでモデルのような理想の8頭身にロシアの祖父の血を多く受け継ぐ疾風は堀が深く鼻が高い。

165センチを少しこえるほどしかない里桜はどうしても、疾風を見上げる形になってしまう。

整ったすっとした鼻梁に、どこか野性的ともいえる、フェロモン溢れたような男らしい顔は男女問わず人気があるようだ。鋭い双眸は、男らしい野獣ワイルド系、という言葉が似合う。

 教師なのに媚びたり、変に偉そうじゃないし、生徒の立場に立って物事を考えてくれるからまた人気らしい。
変にかしこまらない、横暴な、素のままの疾風は男女問わず、生徒どころか教師まで熱い支持を受けていた。

里桜からしたら、傲慢だし、俺様だし、どうしてこんなやつが人気なんだか…と首を傾げてしまうところなのだが。

今日も黒いスーツを着こなしている疾風は、教師、というよりもホストという言葉の方がしっくりした。

「何か用ですか…、せんせい=v

わざとらしく、先生、と強調して、疾風の傍による。
疾風は、ほいっとプリントの束を里桜に差し出すと、

「ほらよ、このプリント。チェック頼むな」

と飄々とした顔で言った。
たかがチェックで朝っぱらから呼び出したらしい。

疾風ほどの人気なら、わざわざ自分に頼まなくても、やりたい!と志願してくる子猫は沢山いるというのに。
こうして、嫌がる里桜ばかりを疾風は構うのだ。


「こんなチェックくらい、自分でなさったらどうですか?」
「忙しいの、こう見えて、俺は。ったく、可愛くネェな、里桜は…。素直にやったらどうだ」
「可愛くないなんて、言われなくても、知ってます」


自分は、鈴と違って可愛くない。
それは自分自身十分知っていた。
甘えたで、ちょっと鈍感な、可愛い弟。
それに比べて自分は、いつも保身や周りの目ばかりを気にする優等生。
甘えられる鈴に甘えられない、自分。

到底可愛いわけがない。
里桜はふい、っと疾風から顔を逸らす。
そんな拗ねたような里桜の態度に疾風は苦笑し、

「そんなところが、可愛くないっていうんだぜ?りお、」

すっ、と、里桜の尻を撫でた。
やわやわ…、とまるで痴漢を髣髴させるかのような、危うい手つき。

このエロ教師が…。
里桜は心でそう毒するが、しかしあわあわと慌てると余計、疾風の思うつぼ。普段クールな里桜慌てる様を見て嘲笑いたいのだ。

ここ数回の逢瀬で里桜はそれを理解していた。

仕方なく里桜は努めて冷静に受け取ったプリントに目を通す。

何も反応のない里桜に疾風はふぅん…と呟いてにやにやと意地の悪い顔をたまま、撫でていた尻をぎゅ、と一つ尻を揉んだ。


「っ!」
「それともわざと、こんな、つんつんした態度取ってんのか?俺に構って欲しいから。
生憎(あいにく)、俺は素直な子猫の方が好きなんだけどなぁ。
子猫…っつーか子ウサギか?

鈴とか最高じゃね?いかにもぽややんとしてるし、癒し系っていうの?

俺ああいうタイプ泣かせるのとか、最高だね。

なぁ、お兄ちゃん?
双子でも随分違うよなぁ…」

もみもみ、っと、片手で、里桜の尻を揉む疾風。
小さな里桜の尻は、疾風の片手でも掴めてしまうのだろう。先ほどから、その小さく肉着きの良い尻の感触を楽しむかのように、疾風は里桜の尻を揉み続ける。

素直じゃない、猫。そして鈴は可愛い素直なウサギ。
疾風はよく二人をそう称していた。
そして、疾風は可愛い素直なウサギが好きらしい。





prev / next
(5)


[ back to top ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -