鬼畜狼と蜂蜜ハニー里桜編 | ナノ


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□■□

「ん…や……」

密かな振動に、里桜は艶めかしい声をあげる。

ヴーヴーと、何かが自分の下肢で動いている。
丁度ペニスや、蜜孔の部分を重点的に。
それは何度も這うように、刺激していく。


「や…なに…」

ビリビリと肌を刺激するくらいの、小さな振動。
でもそれが的確に、里桜のペニスを刺激する。

ヴーヴーというモーター音が部屋に響く。

優しく、でも、快楽を負わせる愛撫で。
じれったいほどの、愛撫。

ぎょっとして下肢を見れば、そこには…


「せんせ…い…?」

そこには、疾風の姿があった。
ただ…いつもの疾風じゃない。
かすかな、違和感。

「なに…その恰好…」

疾風は眼鏡をかけて、白衣を着ていたのだ。
白衣に眼鏡。

コスプレか…?
疾風にそんな趣味あったのだろうか。
片手には、うねうねと動く左右に気味悪く動くディルドがあった。

里桜は体を強張らせながら、疾風を見やる。
自身は疾風に脱がされたのか、上半身は何もつけていない状態だった。


「なに…せんせ…」
「りお…」
「んっ…」

ふわり、と抱きこまれた瞬間、唇を奪われる。
つん、とアルコールの匂いが鼻と口に広がった。


「っ…さけ…くさ…。なに…くらくらする…」

呑んでないのに…
アルコールのキスでくらり、とする。

ベッドに倒れこむ里桜に、そのまま疾風は乗りかかり、ちゅ、ちゅとキスをしていく。
初めはただされるがままだった里桜も、次第に、それに舌を絡ませ、キスを深くしていく。

別にキスをしたいわけじゃない。
疾風にそうしろと教え込まされたから…。
そういいわけして、里桜は与えられるキスに酔う。


「せんせい…」
「違う、だろ。りお。俺は…」
「…ご主人さま…」

浮かされたように、言う里桜。
そんな里桜に、ふ、と疾風は優しく笑い、

「…違うよ…、里桜。私は、隼人だよ」

という。

「…はやと…?なに…?だって…」

目の前にいるのは、疾風、なはずだ。
だって隼人は鈴を連れて家に帰ったはず…。

でも…

(似てる…?)

眼鏡をかけて、前髪を真ん中で分けた目の前にいる人物の姿は…隼人に実によく似ていた。

白衣なんて着ていたら、余計隼人ではないかと錯覚してしまう。

疾風にも似ているし、隼人にも似ている。
変な錯覚を起こしそうだ。


「せんせい、なんなの?変な冗談は…」
「冗談なんかじゃないよ…。里桜。

私だ。君こそ、何を言っているんだい」
「え…」

疾風こそ、何をいっているのだろう。
隼人なわけない。ここは疾風の部屋だ。

でも…

(ほんとに、先生…?)
アルコールの匂いでくらくらする。頭がまともに働かない。

敬語で、隼人だと言われれば、本当にそう思えてくる。
ここにいるのは、隼人だと。


「隼人さんなわけ…な…でも…」
「まだいうのかい?里桜」

そういって、疾風はクスリと笑い、里桜の胸の二つの飾りをきゅ、とつまむ。
途端、胸の切ない刺激に里桜の身体の力は抜けた。


「やっ…」
「私を間違えるなんて…お仕置きが必要だね…里桜、」

疾風は楽しげに笑うと、里桜の脚を広げた。


「…あ…、」

呆然としている里桜のペニスに顔を近づける。
里桜の雄の証は、ほんのりと反応を示していた。

里桜のやんわりと立ち上がっている屹立を見ながら、疾風はそっとそれを触る。
触られた瞬間、じわり、っと秘口から蜜が溢れる。
疾風はそれに目を細め、ゆっくりと手を動かしていく。


「やっ…」
「おや…、里桜。もうここはこんなになっているよ…ずくずくだね…。」
「せんせ…」
「隼人だよ…里桜、」

くすりと疾風は笑い、屹立を扱く。
里桜は目元を真っ赤に染めながら、それから目を背ける。

「ほら、ちゃんと見なさい、君のがどうなっているのか…」
「いや…ぁ…」
「いや、じゃないだろう。里桜。もっと素直になりなさい。気持ちいいんだろう?」

クスリ、と微笑みかける疾風。

「いや…、そこ、くちゅくちゅしてちゃ…いや…だ…」

隼人じゃない。
今自分を触っているのは…けして、隼人なわけない。
なのに…

「隼人さぁん…、も…やぁ…」

気付けば里桜はそう口にしていた。
隼人の名を口にした瞬間、今まで楽しそうに微笑んでいた疾風の顔が曇る。

「っち…、」

イライラと舌打ちをして、里桜の屹立を先ほどよりも強めに握る。
里桜は突然握られたそれに、ピクリ、と身体を震わせた。

「い…いたい…」
「おや…ごめん、痛かったかい?悪かったね…、」

疾風はまたも、隼人の真似をし、にっこりと笑う。

「ちょっとごめん…」

つ…と、ずれてきた眼鏡をかけなおす。
そんな隼人らしい動作に、目を奪われる。

(隼人さん…せんせい…?)

疾風は、いつも眼鏡をかけていない。
それに引き替え、隼人はいつも眼鏡を着用していた。
普段は似ていないと思いつつも、こうして疾風が眼鏡をかけ、白衣を着ていると本当に隼人なんじゃないかと軽い錯覚が起きる。

疾風じゃなく、隼人に触られている…と。


「くらくらする…」
「ん…?」
「せんせ…、隼人さん…俺今可笑しいんだ…。俺…」
「ん…、どうした…?」

可笑しいと口にした途端、急に真剣な顔になって、疾風は里桜の身体を触った。

「あつい…」
「熱か…」

こつん、と額と額を合わせてくる疾風。
至近距離から見る疾風の顔に、かあ、っと里桜の頬が染まった。

(なんで…おれ…)

けして隼人じゃないと知っているのに…いつも好き勝手している疾風だと頭ではわかっているのに…

(なんで…こんな…)

どうして、こんなに胸が高鳴っているんだろう。
里桜は赤らむ顔を疾風から必死に隠す。

それを訝しんで、ますます疾風は里桜の顔を覗こうとした。

「里桜…?」
「俺…、俺…」
「ど…した…?具合でも悪いのか…」
「ちが…くて…。あの…俺、身体が…暑くて…」
「身体が…?」
「うん…、なんだろ…これ…すっごいぽかぽかして…、
ふわふわして…」
「…?お前酒飲んだか?」

突然、疾風の口調に戻った。
里桜は疾風の問いにぶんぶんと首を振る。
飲んだのは鈴だけだ。里桜は鈴と隼人の仲睦まじい様子を見ていただけ…。

「…ど…して…おれ…」
「まさかお前、俺とのキスで…酔ったのか…?」
「…え…」

キスくらいで酔うだろうか。しかし、鈴でさえ、あの酔いようだ。
この兄弟は酒がとことん弱いのかもしれない。
まいったな…、と疾風は頭をかき…しかし酔っているのかほんのりと頬を染めた里桜に、ついつい理性が壊れそうになる。

隼人の真似などやっているが、本当は今酔っているからか、目を潤ましそこはかとない色気を帯びた里桜に不埒なことをしたくて堪らなかった。

正直なことをいえば、さっさと里桜を自分のものにして抱いてしまいたい。でも…

(そういうのは…やっぱり両想いになってからっていうか…)

散々、嫌がる里桜に厭らしい事を強要していても、最後の最後で理性が勝つ。
まるで言い訳のようだが、抱き合うのはやはり両想いになってからだと決めていた。
散々里桜を泣かせたし、嫌なやつと思われているかもしれない。
里桜に手を出したのだって、隼人しか見ない里桜に焦れたからだった。

でも、最後の一戦だけは、まだなんとか守っている。
例え、どんなに里桜が隼人を思っていても…けして、自分の思いが通じなくても、身体だけは…気持ちが通じ合ってから奪いたかった。

(隼人め…羨ましい…)

はたして、隼人は鈴とどこまでいったのだろうか。
自分と同じく、鈴とただの触りっこだけなのだろうか…。
わが弟ながら、羨ましい。

「里桜、」
「ん…。や…、おれ…ぇ…、」

里桜はうるうると瞳を潤ませながら、小さく口を開けて、疾風を見つめている。

気が付けば、きゅっと、服を握りしめて。
誘っている…。
いや、里桜的には無意識なんだろうが…。
ずくん、と疾風の下半身に熱が帯びる。ズボンからでもはっきりとわかる欲望のしるしに、俺も若いんだな…と、変に達観する。


「り、りお…?」
「か、身体が熱いの…。どうにかして…怖い…おれ…」
「な…、」
「せんせぇ…、や…あ…、ん…、りん…鈴が…」

突然、喘ぎ声をあげ、身体を丸め、苦しげに息をはく里桜。

「?鈴…?は…?おい、」
「鈴が…気持ちいいって…。や…。ど…にか…して…」
「…鈴が…?っまさか…」

鈴は…今頃隼人の念願通り、隼人に頂かれているだろう。
双子というのは、まれに感覚や感性が同じように共用されるという。
まさか、今、里桜の身体は鈴の身体の快楽がそのまま伝わっているのか…。

まさか…。
いや、でも…酒で酔っただけには思えない程、目の前の里桜はフェロモンを溢れさせており、その色気にくらくらとする。


「りお…」
「も…や…。どうにかして…俺、こわいよぉ…、熱い…早く…早く…いきたい…いきたいのぉ…」

ついには泣きながら、自分のものをパンツから取り出し、弄り始める里桜。
里桜は必死にそれを扱くが、なかなかいけないのだろう。

遠くなるほどの快楽に、背中を丸め、のたうちまわっている。

「や…こわい…なんでぇ…」
「りお…、」
「せんせ…、せんせい…」
「俺がいる…楽にしてやるから…」

眼鏡を取り、里桜にキスをする。
もう隼人ごっこは辞めだ。
なぜだかわからないが、今、里桜は鈴と感覚を共用しているらしい。
狂おしいほどの快感が襲ってくるにも関わらず、里桜は一人ではいけないのだ。

「里桜」

甘いキス。
里桜はそれに舌を絡ませて、答えた。

唇を離すと、つぅ…とどちらともない唾液が毀れ落ちる。
里桜は目元を染めて、潤んだ瞳で疾風を見上げていた。


「すぐ、終わるからな…」
「ぅっ?」
「ちょっと…我慢しろ…」

疾風は、いつもしているように、里桜のペニスをやんわりと包み込んで愛撫を施していく。
里桜は甘い喘声をあげるも、まだあと一歩足りないのだろう。

もどかしそうに腰を上下させる。


「も…、や…。抱いて…抱いてよぉ…」
「里桜、」
「俺を抱いてよ…隼人さぁん…、足りない足りないの。隼人さんに…」
「!」

真っ赤な顔をしながら、隼人に抱いてほしいと強請る里桜。
意識ははっきりしているのだろうか。それとも無意識か…?

それまで里桜を愛撫していた手が止まる。

「里桜、」
「隼人…さん…」
「…くそ…、」

疾風は不機嫌そうにつぶやいて、履いていたズボンを脱ぐ。
そして里桜の身体に跨りながら、里桜の両足首を持った。
ぴったりと足を閉じさせて、その間に疾風のペニスをやる。

疾風の熱く滾ったものが、里桜の足の間に挟まっている。

「抱いてやる…、ただし、素股だ。それでお前の気が済むのなら…」
「…っふ…」
「わかるか…?お前と俺の…、ぐずぐずになっているの…」

疾風はそういって、己のペニスと里桜のペニスを合わせ、上下に刺激する。

「…あ…、んっ…!」
「すげ…汁…」

里桜の太ももは、いつの間にか二人の出した液でぐっしょりと濡れていた。

「足…しめておけよ…」

抜き差しされる、ペニス。
自然と腰を揺らす里桜。

いれてはいないのに…こうやっていると二人でセックスしているような感覚に陥る。

里桜は疾風のリズムに合わせ、腰を揺らし、目の前の目のくらむほどの快楽を追う。

今、里桜にこうしているのは誰なのだろう。
疾風だろうか、隼人だろうか。

明日、里桜は今日の事を覚えているんだろうか…。

「りお、」
「…ふぁ…」
「いけよ…何度でも…辛かったら、付き合ってやるから…」
「ん…んぅ…ああああー」

疾風が優しく微笑んだ瞬間、里桜は勢いよく射精していた。






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