鬼畜狼と蜂蜜ハニー里桜編 | ナノ


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「ごめん、俺ちょっとトイレ…、」
「あら、トイレの場所、わかる?」
「うん、」


母親に断りをいれて席を立ち、トイレへ向かう。
鈴には風邪じゃない、と言ったが…本当に風邪でもひいたかもしれない。

身体はだるいし、ぼぉ、っとする。
トイレの鏡には、浮かない里桜の顔が映し出されていた。


「全部、あいつのせいだ」
「…どいつの、せいだって?」
「っ!」

誰もいないと思ったのに…。
返された返事にぎょっとする。
里桜のあとをついてきたのか、トイレの入り口のドアには疾風が立っていた。


「せん…せい…」
「ご主人様、だろ…、なんなら、お兄ちゃん、でもいいぜ?」
「お兄ちゃん…誰が…」
「事実、だろ。」

里桜の母親が院長と結婚すれば、その息子である疾風は間違いなく、里桜の義理の兄になる。
疾風の言葉通り、兄というのは紛れもない、事実、なのだ。


「ん〜、お兄ちゃん、もいいなぁ。
ご主人様、も気に入っているんだが…。今度そういうプレイしてみるか?」
「プレイ?」
「お兄ちゃんと弟の禁断プレイ。もちろん、エッチの…な」
「なっ…するわけない…!馬鹿に…」

馬鹿にするな。
かっとなり、言葉とともに手をふりあげる里桜。
そんな里桜の手をやすやすと片手で受け止め、

「そんなマジになって、本気でやりたくなるじゃねぇか…」

小ばかにしたように鼻で笑い、里桜の手をひきトイレの個室へと連れて行く。


「…ちょっと!」
「これから、俺とお前は兄弟なんだ。
もっと、親睦深めようとは思わねェか?」
「思わない!離せっ」
「可愛くネェ奴…」
「そんなの…、知ってる。気にくわないなら構わなければいいだろ…」

ぎり、と唇を噛んで、睨みつける。

「気に食わねェとは言ってないだろ」

疾風は苦々しく零し、里桜をトイレ個室の壁へと追いやる。
どん、と音をたてて里桜の背がトイレの壁へとあたる。
疾風は壁と己で囲うように里桜の行き場をなくした。


「今日、不機嫌だったのは…コレのせいか?」

コレ、というのは、再婚の件だろう。
嘘をついても仕方ないし、こくん、と首を縦に振る。


「隼人ばっか見やがって…」
「そ、そんなことは…。
それに先生、隼人さんと兄弟なんて一言も…」
「ああ?聞かなかったじゃねェか。よく見たら顔とかすっげぇ似てるんだぜ?」


疾風の言葉に、里桜は疾風の顔を凝視する。

日本人にしては高い鼻。長い脚に小さな顔。
堀の深い二重の瞼。線がくっきりとした顔立ち。
確かに二人とも女にモテそうな、顔をしている。

言われてみれば、似ているところはたたある。
だが、性格が違いすぎる。
かたや、ホストと言われるくらい男女関係にだらしない疾風。

かたや、優しく王子様といわれて、性欲なんてありません、って顔した隼人。

兄弟、とすぐに結びつけないのは、二人の纏うオーラのせいもある。


「隼人が、誰が好きか…見てわからないのか?」
「知ってる…、」
「なのに、あんな目で見ていたのか?」
「あんな目?」
「すっげぇ、切ないような…、欲しいのに欲しいって言えない目で見ていた…」

そんな目で、見ていたのだろうか。
自分では無意識だったけど、周りではそんな風に見えるのか…。
もし、それが鈴に知られたら…


「安心しろ、俺以外多分気付いちゃいねぇよ。それぞれ、思い人が目の前にいてそれどころじゃなかっただろ?ぽけぽけの鈴なんて、ありゃあ一生気づかねぇよ」
「ポケポケの鈴って…」
「事実だろ。うちの弟君はそんな天然が大好きみたいだけどな…。まぁ、可愛いし」
「可愛い…」

疾風は、鈴の事をよく可愛い可愛いといって褒める。
里桜のことなど、滅多に褒めたことがないのに。

(まさか、本気で鈴を…?)

本気で、疾風は鈴が好きなんだろうか。
素直な子猫が好きだと言っていたし、里桜の前でよくよく鈴の名を疾風は出す。

自分にこうも当たるのは、鈴に手が出せないから…?


「あんな目で見ても…隼人はおちねぇよ。知ってるだろ。
隼人は…」
「知ってる…よ…。
鈴は隼人さんが昔から好きで…隼人さんも、鈴が好き。恋愛感情かはしらないけど…、俺よりずっと隼人さんは鈴を見てる…。」
「見てる、じゃなくて、両思いだと思うぜ?」
「…、」

両想い。
やはり誰から見てもそう見えるのか。
しっかりものの隼人にぽけぽけしてるけど愛くるしい鈴。
お似合いだと思う。二人とも大好きだから、祝福したいのに…。

「…むかつく…。お前は…いつも…」

ぽつん、と独り言のように零す、疾風。
しかし、塞ぎ切っていた里桜には、その言葉は届かない。

「くそ、」

疾風はイライラと頭をかいて、里桜の顔に己の顔をよせる。

「やるぞ、里桜。」
「は?何…」
「安心しろ。お前が二人のこと考えられなくなるように、お前だけ気持ちよくしてやるよ」

ニヤリ、と笑って、疾風は里桜のズボンのチャックを下ろす。
疾風がすることの意図に気付いた里桜は、すぐさまそれに抵抗し疾風を睨みつける。だが、疾風はどこ吹く風。
しゃがみ込んで、里桜の下着を下し、里桜の半身を晒す。


「ここが、どこだと…」
「トイレ。っと静かにしないと、人来ちゃうかもしれないぜ?」
「―っ!」

もぞもぞ、と妖しくペニスを触る疾風の手。
やんわり、と握りこみ刺激を与える。
どうやら、本当に里桜に悪戯する気でいるようだ。
朝もしたというのに…。

くちゅくちゅ、と、卑猥な水音がトイレの個室に響く。
疾風は、里桜の弱いところを的確に攻めていく。

「ここ、いいだろ、里桜」

溢れてきた蜜を絡め取り、またペニスに塗りたくる疾風。
甘い旋律が、身体を駆け巡る。
里桜は手の甲を口に当て、吐息が毀れないように耐えた。

「いきたいんだろ?いいぜ、のんでやるからよ」
「や…」
「強情、だな…」

ちゅ、と、里桜のペニスに恭しく口づけて、舌でねっとりと舐める疾風。

「ふあっ…」

脳天にくるほどの快楽が、里桜を襲う。

ゆるゆる、と腰が勝手に動く。

こんなこと、したくないのに。
裏腹に腰は動き、快楽を追っていく。
嫌なのに、気持ちがいい。
段々と抗う手は、抵抗を失い、疾風に身を任す。

そして…、





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