王道×脇役
んん?この状態はなんなわけ?
ってか、アレ?俺寝ちゃってたんだ。
‥いや、今はそんな事どうでも良い。
なんで寝てた俺が今、王道君にキスされてんの?
突然の事で頭はついていかないし
俺もう酸欠なんですけど、無理なんですけど、ディープなんですけど、上手いんですけど…
もうそろそろ意識遠退いて、ヤバ‥い




「‥んっ!!止めろ〜〜!!」
起き上がり周りを見渡すとそこには誰もいなかった。

確か中庭でお昼食べて、その後眠気に負けて寝たんだよな
えっ?もしかしてさっきのって夢?

いつもボサボサでモサモサな長い前髪や眼鏡のせいで見えなかった顔は夢では間近に見え、
その顔は生徒会の奴等よりも断然カッコ良かった。
夢の中の王道君を思い出し、思わず顔が火照る。

こんな夢見るなんて、実は俺ってホモだったのかな?

夢だったのに王道君とのキスはとても気持ち良く、あんなに気持ち良いのなら、もう一度夢を見て、もっとキスして欲しいという思いが出てくるが頭を振って消しさる。
男相手に、しかもあんなモサモサ相手に何考えてるんだよ俺。
もう考えるのやめやめ!

多分もう授業はとっくに始まってるはずだと、教室に戻ろうと重い腰を急いで上げた。



「……よしっ」
「なぁ〜にが、『よしっ』何だぁ?山田?」
教室の前まで来て準備を整え意気込むと、我らが担任様のユッキー先生が後ろに居た。

「ユッキー先生、なんでココに居んの!?」
「6時間目の授業が古文だからだよ。居て当たり前だろ」
あぁ今って授業中だとはわかってたけど、もう6時間目になってたんだ。

「説教は後でしてやるから、とりあえず中に入れ」
「す、すいませーん…」
教室の中に入るとクラスメイトからの視線が身体中に刺さった。
「え、えへへへ」
笑って誤魔化すと皆も笑ってくれたり、心配して声をかけてくれたがユッキー先生からいいから座れと言われ、直ぐに席に座らされた。




「すいませんっした〜、それじゃあユッキー先生。バイバーイ」
放課後、ユッキー先生からのお呼び出しがかかり、今までお叱りを頂いた。
まぁ、気持ちよくて昼寝しちゃった俺が悪いから自業自得なんだけどね


特にこのあと予定もなく、そうだ久しぶりに結城ん所へ行くかと寮へと足を進める。
結城は頭が良く、人の世話をするのが好きで俺の世話をよくしてくれる。
まぁ顔は俺と同じ平凡顔だが、ガタイの良い奴等から母親みたいだと言われ、モテている。

そういえばなんで最近結城と会ってなかったんだっけ?と
結城の部屋を前にしてふとそう考えながらも、結城の部屋のインターホンを押した。

「はーい。あっ!!秋良じゃん。」
ああ、思い出した…
今まで2人部屋を1人で使ってた結城の部屋に、王道君が来たからだ…

「秋良ー、俺に会いに来てくれたのか?」
昼間の夢を思い出してしまい、王道君の目を見れないながらも
「なぁ、広瀬。結城居るか?」
と尋ねると、王道君の言葉を無視したからか王道君は少しむすっとした。

「結城なら今、台所にいる。…なぁ、俺の事は名前呼べy「あれ?秋良じゃん。どうしたの?」
何か王道君は俺に言いかけていたが、そこに結城がやってきて王道君の言葉を遮った。

「結城〜、やっほ〜。今もしかして晩御飯の準備してた?」
「んー。だってもうすぐで6時だしね」
だね〜っと結城に返し、玄関から部屋の中へ居れてもらった。
始終、俺と結城が話してる間は静かだった王道君は、結城をじっと見つめていた。

あんな夢見たからか、ほんの少しだが王道君の事を意識してしまう。
夢だとわかっているが、あんなに感触がリアルだったんだから仕方ないと自分を納得させる。

「秋良、さっきから百面相してどうしたの?体調でも悪い?」
我に返ると2人がこちらを見ていた。
「え?いや、そんなことないよ。それより俺、久しぶりに結城の晩御飯食べたいなぁ!!!今日食べて行っていい?」
「おう。じゃあ秋良の分も作るな」

そう言いながら結城はキッチンへと向かった。
ふぅ、とため息をついたが、結城がキッチンへ行ったということは今この場には王道君と二人きりになってしまった。

「秋良!秋良!コッチ来いよ」
王道君は、ポンッポンッとソファーを叩き俺の腕を引っ張った。
王道君の隣に座らされそうになり、もがき移動しようとしたが、王道君に手を引かれ体のバランスが崩れて王道君の方へとダイブした。

「やっ!ちょっ、えっ?」
王道君へと倒れ、急いで起き上ろうとしたら、王道君の手が丁度俺のお尻に当たった。
ビックリして声が出てしまい、慌てて手で口を抑えると何故か王道君に抱き締められてしまった。

「ひろ‥せ?どうしt「もう、、り、…ま、、で‥ね……」
「ひゃっ、揉まない‥で。」
恥ずかしくなり途中から声が少し小さくなったが、俺と王道君の距離ではバッチリ聞こえるはずなのに、王道君は俺の尻を揉むのを止めようとしない。

「もう、いい加げn「秋良達ー、ちょっと醤油切らしたみたいだから買ってくるなー」
結城はそう言い、遠くの方からガチャンと扉が閉まる音がした。
…えっ?待って完全に王道君と二人きり?

「なぁ、秋良?」
「ひゃぁ、な、何?」
心臓がバクバクする。なんか、自分が自分じゃないみたいで怖い。

ゆっくりと王道君へと視線を向けるとこちらをジッと見つめながら
王道君は自分の髪と眼鏡を掴み勢いよく取った。

取ったぁぁぁぁぁああ?!と目を見開き驚いてると、夢の中の王道君と今の王道の姿が重なった。

「秋良、これが俺の本当の姿。俺はお前のことが好きだから、お前には本当の俺を知っていて欲しいんだ」
「えっ?は……?」
「初めてあった時から好きだ。もう我慢出来ない。今日の昼だって‥」
最後の方は声が小さく普通なら聞き取れなかったが、今の俺は広瀬とは距離が近く、ちゃんと聞こえた。

「昼って…、俺にキスしたのってやっぱり広瀬だったの?」
無言で頷き、俺の顔をジッと見つめた。

「勝手にキスしてゴメン。でも秋良見てたら我慢できなくて…」
我慢出来なくてディープなキスだったのかよ…

「そりゃ、気持ちよかったけど…」
「秋良。それって俺とのキスが嫌じゃないって受け取っていいの?」
広瀬の発言を聞いて、そういえば男同士でキスしたのに、嫌悪すら感じていないなと気がつく。

「嫌じゃなかったし、正直広瀬とのキス、気持ちよかった…と思う」
出来るならもう一度して欲しいと思うぐらいには広瀬のことは好きだし、そもそも広瀬が嫌いなんじゃなくて
俺は、広瀬のそばにいる生徒会役員達が嫌いなだけ

「俺と付き合ってくれればキスでも、キスより気持ちいいことでも、いつでもしてあげるよ?」
広瀬はニヤリと笑う。
今の広瀬の姿では無駄に絵になり見惚れてしまう。
別に俺は男が好きだったはずじゃないんだけどなぁと思いながらも、広瀬からの誘惑に勝てる訳がなく了承する。

「わかった。その代わりお願いしたらいつでもしろよな。絶対!!」
思春期の男は快楽に弱いんだ、仕方ない。

「じゃあ俺からもお願い。これからは俺のことは名前で呼んで?」
「ひ、広s「違ーう!名字じゃなくて名前」
広瀬の名前なんて俺知らないし。
どうしようと広瀬をジッと見つめる。

「秋良もしかして、俺の名前知らない?俺の下の名前は柚喜だよ。ほら言ってごらん?」
「ゆ、柚喜?」
「そうそう、何かあったらちゃんと俺の名前呼んでな?」
これだけであの快楽を手に入れられるならお安い御用だ。
うんっと俺は王道君もとい柚喜に頷いた。
そしてあの気持ち良さを思い出し、昼みたくキスをして欲しくなった。

「なぁ、柚喜。キス、して?」
柚喜はビックリした顔をしながらも、直ぐにニヤリと笑い俺に近づいて来る。
自分で誘っときながら、やっぱり恥ずかしいなと目を瞑り今か今かと構えていると
「柚喜いるかー?」
「僕の柚喜、僕が来たよ!」
「柚ちゃ〜ん、遊ぼ〜」
「柚‥居る?」
「ゴメン、醤油買って帰る途中に会って、柚喜に会いたいからって着いてきちまった」
丁度良く、俺達を邪魔するように生徒会の面々がやってきた。
上から、俺様会長。
ナルシスト副会長。
可愛い系腹黒会計。
ワンコな無口書記。
っで、最後に醤油を買って帰って来た結城。
結城は友達だし、元々ココの住人だからいいが、問題は生徒会。
俺はこいつらのことが大嫌いだし、今からキスするところを邪魔されるしでイラついて仕方が無い。

ちらりと柚喜を伺うと感情の読み取れない顔をしていた。

これから先、キスのチャンスはいくらでもあるからいいとして
もしかして生徒会の奴等が恋敵?になるのかと気分が下がる。






解説
秋良くんはきっと快楽に弱いんだと思います。柚喜くんのことは嫌いじゃないだけで、別に恋愛感情ではまだ好きじゃないです。
気持ちよければそれでいいんだと思います。思春期ですからね。そういう気持ち良いことには興味津々。


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