「ビリー!」

格納庫内に突然響いたその声に、ビリーはふと顔を上げた。駆け寄ってくる鮮やかな群青色の軍服に身を包んだオニキスの姿を認めて、驚いたように目を見開く。

「オニキス…!どうしたんだい、こんな時間に。」

ぶつかるように飛び込んで来たオニキスの体を受け止めると、その反動で長いポニーテールがふわりと揺れる。眼鏡越しに穏やかな視線を寄越したビリーを見て、オニキスはにこりと微笑み返した。

「明日急に休暇が取れたの。それで、ビリーに逢いたくなって。迷惑だった?」

「いや、嬉しいよ。けど、一体どうやって?」

時計を見ると、後小一時間もすれば日付が変わってしまうという頃。オニキスの配属先はここからかなり遠い所にある基地だ。逢いたくなったからと言って直ぐに来られるような距離ではないし、この時間では交通手段もないだろう。疑問に思って尋ねると、オニキスは顔を上げて格納庫の入口を示した。

「飛んできたの、彼のフラッグで。」

オニキスの視線を辿れば、そこには軍事演習に出ていたはずのグラハムの姿。大袈裟に肩を竦めてみせる友人に、ビリーは感謝の意を込めて軽く会釈を返した。

「今夜、泊めてね?ビリー。」

「あぁ。全く、君には敵わないな…。」

思い立ったら居ても立ってもいられなくなる彼女の行動力は、最早称賛に値する。純粋な感心と愛しさを込めて、ビリーは胸元に顔を寄せるオニキスの唇に軽くキスを贈った。





ただいたくて

(カタギリ、早く彼女を嫁に貰ってやれ。)
(いきなり何だい、グラハム。)
(私のフラッグをタクシー代わりに利用されるのは御免だ。)










20080512
100,000HIT御礼企画
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君には敵わないな。



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