「ヨハン、いる?」
ブリッジを覗き、操舵席に腰掛けたヨハンの後ろ姿に話し掛ける。
「留美に物資調達頼もうと思うんだけど、ついでに何か欲しい物とかある?」
「いや、特にない。」
少しの間を置いて帰ってきた予想通りの返事に、オニキスは軽く肩を竦めて笑った。
「本当に何も無いの?あれ食べたいとか、これ欲しいとか。」
「最低限必要な物があればいいさ。」
ヨハンの隣に移動し、灰色の瞳を覗き見る。彼の年齢を考えればこれが普通なのかもしれないが、我儘放題の下二人とは大違いな反応に、オニキスは感心と同時に少しだけ物足りなさを感じた。
「物欲がないわよね、ヨハンって。ミハエルとネーナに聞いたら、あれが欲しいこれも欲しいって次から次へと…振り切るのに大変だったんだから!」
そう語るオニキスの口振りから弟と妹の反応を想像するのは容易で、ヨハンは呆れながらも口元を緩めた。それから何かを思いついたように、オニキスの方を見る。
「どうしたの?」
「そうだな…。欲しい物が全くない訳ではないが、それを手に入れるには君の同意が要る。」
「私の同意?」
「なに、簡単なことだ。」
首を傾げ、考えを巡らせるオニキスの方に手を伸ばすと、ヨハンは勢い良く彼女の腕を引いた。オニキスはバランスを崩し、必然的にヨハンの上に倒れこむ。
「うわ…!?」
「オニキス…、君が欲しい。」
「……は?え、ちょ…待っ…待って!ヨハン…っ」
吐息が耳元を掠める。突然色を帯びた声音に慌てて立ち上がろうとするが、肩に回された手の所為でそれは不可能で。
気づいた時には、視界には彼しか映っていなかった。
I WANT YOU20090216
100,000HIT御礼企画
台詞リクエスト
君が欲しい。
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