未来を妄想

朝食を終えた後、わたしが食器を洗って、ジンさんが拭いて棚に片付けていた。

それが何だかくすぐったい感覚だ。

「さっきから何をニヤついてる」

「え?あぁ。
なんかさ、新婚さんみたいだなぁって」

「あ?」

「わたしが奥さんでジンさんが旦那さん的な」

ジンさんの奥さんか……うわぁ、テンション上がる。

朝はおはようのちゅーして、ジンさんの作ってくれた朝ごはん食べて、それから行ってきますのちゅーで見送られて、ジンさんの作ってくれたお弁当食べて、で帰ってきておかえりのちゅー、ジンさんの作って(以下略)で、おやすみのちゅー………あれ?

ジンさん主夫になるの?

それも悪くないな。ぐふふ

いや、待てよ?

ジンさんがお嫁さんって場合、旦那さんは赤井さんか!

なんかそれはそれで萌えるなぁ…ふへへ。

なんて妄想膨らめてたら、袖が落ちてきてるのに気が付かなかった。

ヤバい袖が濡れる。

「ジンさんヘルプ!
袖が!」

「全く世話の焼けるやつだ」

ジンさんはわたしの後ろに回り込んで、袖を捲ってくれたんだけど……。

「あの、ジンさん?」

「なんだ?」

はうぅぅ……耳元で吐息たっぷりに囁かないでーー!

「ち、近いんですけど」

「あぁ、そうだな。
…手が泡まみれじゃあ何も出来ねぇよな」

かぷっと耳たぶを甘噛みされたんだけどーーー!!

「うわぁー…ジ、ジンさん何するの!?」

「茜……」

おぉふ、そんなセクシーに名前を呼ばないで……。

下腹部の辺りがきゅんと疼き、指先が甘く痺れる。

なんだ、この感覚は。

「ジ、ジンさん…」

「可愛いじゃねぇか。耳まで真っ赤に染めて。なぁ、茜?」

あろうことか、ジンさんはわたしの腕をねっとりとした手つきで撫で、泡だらけの手を掴んできた。

「泡ついちゃうって」

「構わねぇよ」

ぎゅ、と指まで絡めてくる始末。
ジンさんの温もりに包まれてる、、、ん?

んー、あー。

うん。違和感。

正直に言おう。
当たってる。
何がってナニが。

「ちょ、ちょっと!あ、朝から盛らないでよ!!」

「お前が可愛い事を言うのが悪い」

「そ、そんなこと……!」

後ろを振り向こうとした瞬間に、唇を奪われた。

ザーザーと水の音がやけに響く。

「……っ…はぁ」

「ジン、さん……
み、水…が」

「知るか」

抵抗するにもできない。

再びジンさんにキスをされる。

ふと、有希子さんの言葉が脳裏を過った。

『最初は怖いかもしれないけど、ジンに身を委ねちゃいなさい!きっと優しくしてくれるわよ〜』

いや、いやいやいや!

初めてがキッチンとかハード過ぎるよ!!

どこのAVだよ!

「ま、待って、待ってジンさんっ……ここじゃ、やだ……」

キスの雨の隙間から漏らした言葉に、ジンさんがぴくりと反応を示した。

「……部屋に行くぞ」


熱を孕んだ瞳で見つめられて、甘い疼きが増して甦ってくる。



何となくだけど、今なら抱かれてもいいと思いコクリと頷いた。






ねくすとちゃぷたー→


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