2
やってきたのは公園。

敷地内にあるベンチに降ろされた。

「足を見せろ」

「あ、うん」

下駄を脱いで足を見せようとすると、ジンさんはしゃがんで足の患部を見た。

「少し待ってろ」

軽く舌打ちして、ジンさんはどっかに行ってしまった。

わたしも自分の足を見てみる。

これはひどい。

痛いとは思ってたけど、こんなに血が出るとは……。

しかも両足ときたもんだ。

結局ジンさんに迷惑かけちゃったなぁ。

「おい」

「ん?…あ、ジンさんおかえり」

「足を出せ」

足を差し出すと、ジンさんが屈んで様子を見る。

そして、濡らしたハンカチで血を拭く。

ハンカチを濡らしに行ってたのか。

「…ハンカチ、汚れちゃう……いっ!?」

「染みたか?」

「ちょっと、ね。
てか、ハンカチ」

「気にするな」

ジンさんは優しく血を拭う。
でも、なんかこうジンさんに足を拭いてもらうってのはなかなか…ねぇ。

「ジンさん、ありがとう」

「次はもっと早く言え」

「はーい……ごめんなさい」

「謝らなくていい。
よくここまで耐えたな」

そう言ってジンさんは仕上げに絆創膏を貼ってくれて、さらに、頭をわしゃわしゃと撫でられた。

まるでえらいえらいって言ってくれてるようだ。

「あ、」

「どうした?」

そんなことをしていると、大きな音と共に夜空に大輪の花が咲く。

「花火、きれいだね」

「あぁ」

少し見切れちゃってるけど、好きな人と一緒に見られるならそれでもいいかな。

隣に座ったジンさんの肩に頭を乗せた。

「茜」

「なに?」

俺は…………

ジンさんの言葉は花火の音に紛れた。
それでもわたしにはちゃんと伝わったよ。


ちょっと照れくさくて買ってもらったお面で顔を隠したけど、すぐに取られてしまった。



そしてジンさんの顔を見たら、優しく微笑んでた。

わたしは何度でもジンさんに恋をする。


おわり


prev / next

bkm

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -