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ジンさんに髪を乾かしてもらってたら、なんか眠くなってきた……。

うつらうつらと、瞼も重くなる。

「寝るなら部屋に行け」

「……うー…ん」

髪を乾かし終わったジンさんが、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。
へへへ……ジンさん優しい。

わたしは、のろのろと立ち上がり自分の部屋に行こうとした。

「ジンさん……あかいさん……おやすみなさい」

おやすみの挨拶をしたけど、だいぶ眠くて舌っ足らずになってしまった。
まぁ眠いんだからしょうがない。

「……あぁ」

「おやすみ」

二人の優しい視線が何だかくすぐったく感じた。

部屋を出ようとすると、ゴンと壁にぶつかった。
思いのほか痛くて、その場にしゃがんだ。

「……いたい……でも、ねむい……」

うずくまって寝そうになってると、ふわっと体が浮いた。

「…ジン、さん…?」

「こんな所で寝られたら邪魔だ。
さっさと部屋に行くぞ」

ジンさんに本日2度目のお姫様抱っこされた。
今は恥ずかしさよりも眠気のが勝って大人しくジンさんに体を預けた。

あぁ、ジンさんが優しすぎてしんどい……。こんなに甘やかされていいのかな……良いよね。甘やかしてくれるんだから。わたしは、甘やかされたいのだ。

部屋に着いてそっとベッドに降ろされた。

「ありがとう、、ジンさん…おやすみ…なさい」

「あぁ…。
おやすみ」

ゆらゆらとした意識の中だったけど、ジンさんがおでこにキスをしたことははっきりと分かった。

満たされたように笑って、わたしは眠りについた。







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「っ!……はぁ、夢か……」

真夜中、悪夢を見て目が覚めた。
普通に怖い夢ホラー系の夢。

今は何時だろうと思って時計を見ると

「午前2時……勘弁してよ……」

めっちゃヤバい時間帯じゃん!
寝ようとしても、寝れない。どうしよう、どうしようと思ってたら、体が固まった。
え?え?!こ、これは金縛りというやつでは?
待って待って、怖いんですけど!

なんとか体を動かそうと力を入れるが、どうにもうまくいかない。
何度か試してなんとか指先が動いたのをきっかけに、腕や足に力を入れて無理やり動かした。

「はぁ…はぁ…っ。
どうしよう……怖いんだけど……ジンさん、起きてるかな?」

わたしは部屋を出て、隣の部屋、ジンさんがいる部屋の前にきた。

寝てたらどうしよう……寝てる、か?赤井さんがいるのにジンさん寝るのか?

うーん。どうしたものかと悩んでいると、部屋のドアが開いた。

「何してやがる」

少し不機嫌なジンさんが顔を出しました。

「あ、いやぁ…ちょっと、怖い夢を、見ましてでして…」

「…チッ…入れ」

ジンさんはわたしの腰に手を回して、部屋にエスコートしてくれた。

ジンさんマジ紳士…かっこいい…。

「ジンさん、ずっと起きてたの?」

「赤井秀一がいるのに俺が暢気に寝ると思うか?」

「ですよねー……」

やっぱり寝てなかったか…。

「だが、気が変わった。
おい、寝るぞ」

「へ?」

ジンさんはベッドに横になると、少し布団をはぐった。

「一緒に寝てやる。
早く来い」

ジンさん……なんてセクシーなの……。

わたしはふらふらとベッドの側まで行くと、ジンさんに手を引かれてベッドの中に誘われた。

「ジンさん…腕、痺れない?」

「あ?俺の腕はそんな柔じゃねぇ」

そう、ジンさんは腕枕をしてくれているのだ。

「夢じゃないよね…?
目が覚めたら、元の世界に戻ってるとか、嫌だよ」

わたしは、ジンさんといたい。

なんて呟いたら、ジンさんに頭を抱き込まれた。

意外と逞しい胸板に耳を寄せると、ジンさんの鼓動が聞こえる。

何だかすごく安心する。

「夢なんかじゃねぇ。俺はここにいるし、お前もここにいる。俺は絶対お前を手離さねぇ」

ぎゅっと抱きしめられて、脚も少し絡み合う。

「ジンさん、ありがとう。
何だか眠くなってきた……」

ジンさんの鼓動と体温が心地好くって、さっきの怖い夢なんてもうすっかり忘れてしまった。

これなら良い夢を見れそうだ。

「ジンさん、」

「なんだ?」

「おやすみのちゅーがほしい」

「は、お前にしては上出来じゃねぇか。
いいぜ?ご褒美だ」

そう言ってジンさんは、わたしの唇に優しいキスをした。
数回啄んでからそっと食んで、最後はちゅと音を立てて離された。

「…おやすみ、ジンさん」

「あぁ、おやすみ……茜」






こうして、トリップ初日の夜が更けていった。


明日はおはようのちゅーで1日が始まるのかな。




tobecontinued...


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