◎ YOU GIVE GOOD LOVE(ザックス)
「ザーックスっ!」
「おわっ!」
求めていたものが見つかったよ。いっつもあちこち探してたけど、何が欲しいか分からなくって。だけど見つかった、本当に私が欲しかったもの。
「ケイー、後ろから抱きついたらビックリするだろー」
「へっへー。だって、ザックス見つけちゃったから!」
大好きなザックスはとても優しい。いつもにこにこ明るくて、温かくあたしを包んでくれて、まるでお日様みたいな人。その上かっこよくって、あたしのことをちゃんと想ってくれて、考えてくれて、間違えば正してくれる。
今まではずっとただの友達だと思ってたから気付かなかったけど、私が求めてたのは、ザックスみたいな人。ううん、ザックスだったんだ。描いていた理想、そのもの。
素敵な愛をくれて、素敵な想いをくれる。だからもうあたしはあなたに夢中。あなたから離れられないし、あたしはあなただけのものだから。
「ザックスー好きだよー」
「俺だって好きだよ」
「へっへー。あたしゃー幸せもんだなあ」
「なんだよ急に」
ザックスはおかしそうに笑った。そして後ろにいるあたしを抱き寄せると、その逞しい腕で私をぎゅーっと抱きしめた。
「へっへー、やっぱりザックスが一番!」
「お前ほんとどうしたんだよ。変なの」
「へっへっへー」
「でさ、気になってたんだけど、その『へっへー』っての何?マイブーム?」
「ぴんぽーん!最近のブームなの、へっへー」
笑顔で答えたらザックスは大きな声で笑った。あったかい腕の中で、ザックスの胸に顔を埋めたら、ザックスは耳元で囁いた。
「…なぁケイ、今ケイが俺にしてもらいたいこと、当ててやろうか?」
「…当ててみせて?」
あたしが意地悪くそう言うと、ザックスは屈んであたしの唇を塞いだ。大好きな人と影がひとつになる、あたしの大好きな瞬間。ザックスはあたしの唇を解放すると、目の前でにやっと笑った。
「…当たり、だろ?」
「…どうしてそう思う?」
「ケイが甘えてくるときは、俺にキスして欲しいとき」
「ふふふ…正解」
ほら、あなたはあたしのこと、何でも知ってる。だってあたしがあなたを友達だと思ってたあのときから、ずっとあたしを見ててくれたんだもんね。
「あれ、へっへーっての、もう飽きたわけ?」
「うん、飽きた」
「マイブーム短いって!」
ザックスがおかしそうに笑う。ザックスといる時間はすっごく楽しい。幸せが心を支配して、これでいいのかなって少し怖くなっちゃうくらい。
「あ、ねぇねぇ聞いてザックス。昨日すっごいかっこいいお兄さんにナンパされたの!」
「はあ!?」
「だから一緒にバーに飲みにいってきたよ。あ、でも何にもやましいことはないから心配しないでね」
「お前なあ…心配するに決まってるって。もし食われたらどうするんだよ」
「だーいじょうぶだって!そのときは私の王子様が助けにきてくれるでしょ?」
「ほんっとゲンキンなやつ…」
「それにね、そのお兄さんすっごいかっこよかったけどさ、やっぱザックスに敵わなかったよ」
「そりゃそうだろ」
くっくっくっとザックスが笑った。自信家なとこも心配性なとこもひっくるめて、やっぱり全部大好き。
今も癖でキョロキョロしちゃうけどさ、どんな人を見ても思うよ。ザックスが誰より一番だって。ザックスしかいないなって。あたしからあなたへの愛は、ずっと続いていくよ。だからザックスも、ずっとあたしを思ってね。
「ザックス」
「ん?」
「ずっと好きだよ、愛してるよ」
「そんなの俺もだって」
「だから側にいてね、あたしの側にいて」
ザックスは嬉しそうに笑って、またあたしの唇を塞いだ。
YOU GIVE GOOD LOVE(そよ風の贈りもの)2011.07.09
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