「ほんとにケイさんって綺麗なんだね〜」
「ほんとだよな!俺ビックリした!」
「あのアホ神子には勿体無いくらいだよ」
「ゼロスの相手しなきゃならないケイさんが可哀想だね」
「こんなに綺麗な人、そうそういないわ」
「ケイさん、笑顔が可愛いです」
「神子は良い人を見つけたな」
上から順に、コレットちゃん、ロイドくん、しいな、がきんちょ、リフィルさま、プレセアちゃん、リーガルだ。全員に食い入るように見られているケイは、困ったように笑っている。
なんでこんなことになったかっつーと、昨日ケイを家に送ったあと屋敷に帰ると、散々冷やかされて会わせろコールの嵐になってしまった。もちろん面倒なことになるのは間違いないことくらいわかっていたから会わせないつもりだったんだけど、今朝ケイが屋敷に来てしまった。
昨日、俺はケイを送ったときに、ケイが入れてくれる絶品のコーヒーを飲んで帰ってきたわけだが、そのときケイの家に忘れ物をしてしまい、それを届けに来てくれたわけだ。
そんなケイを、リフィルさまが目撃してしまって、強制的にケイは屋敷の中に連れてこられた。強制連行という言葉が似合う瞬間を、俺はこのとき生まれて初めて目の当たりにしたかもしれない。
で、今に至る。
「私なんかより、リフィルさんやしいなさんの方が絶対に綺麗だし、コレットちゃんやプレセアちゃんの方がずっと可愛いと思うわ」
ケイはそう言うものの、今度はそんなことないと言われてしまい、さらに褒め言葉はエスカレートしていく。嫌がった顔はしていないものの、さすがに困り顔のケイ。
なのに笑顔でいろんな質問に答えていくケイに、情けなくも嫉妬してしまう。
「でもさぁ、綺麗といえばケイの髪もだよな!」
ロイドくんが言った。
そしてそっとケイの空のような青い髪に触れる。
「うわっ、柔らけ〜サラサラだ!」
ロイドくんが言うと、全員でケイの髪を触り始めた。迷惑というものを知らないのかコイツらは。
ケイもこれには苦笑いだった。
それでも笑っているケイにムシャクシャした俺は、強引にケイを引き寄せた。
「だぁぁぁもう!!あんま触んな――!!!」
そういうと、全員ポカンとして俺を見つめる。
「ケイもケイだっつの!あんま触られんな!」
「え、どうして?」
「どうしてって…その、あれだ、とにかくダメ!!」
そう言うと、コレットちゃんがパアッと表情を明るくさせ、嫌味なほど悪意ゼロの100点満点な笑顔でこう言った。
「分かった!ゼロス、ヤキモチやいたんだね〜」
「んなっ、コ、コレットちゃん、そんなわけな「だって私たちがケイさんと喋ってるとき、ゼロス凄く嫌そうな顔してたよ?みんなにケイさんとられるの、嫌だったんだよね?」
ニッコリと笑いながらハッキリそう言うコレットちゃん。それを聞いて、ロイドくんやがきんちょもニヤッと笑ってこっちを見る。
「ゼロスってば、意外と独占欲強いんだね〜」
「うっせぇがきんちょ!」
「それだけ好きなんだろ?早く結婚しちまえよ!!」
「ロイドくんまで…」
すると、しいなが不思議そうに聞いてきた。
「だけど2人は恋人じゃないんだろ?結婚なんてアリなのかい?」
………。
確かにそうだ、でも俺とケイは相思相愛…のはずだから、さっさと付き合えば結婚なんてあっという間だろう。
「ケイさんはゼロスのこと好きなんですよね?」
「コレットちゃんはどう思う?」
「大好きなんだと思う!」
「そうね、嫌いじゃないわ」
「じゃあ好きってことですね!」
「ふふ、そうかもね」
そんなケイの言葉を聞いて、顔が熱くなったのは気のせいじゃない。こうなれば開き直ってやる、そう思った俺はフッと鼻で笑ってケイを見た。
「なによ」
「残念だなケイちゃん、俺さまケイのこと好きとかじゃないんだわ」
「じゃあなに」
少しムッとしたようにケイは言った。
そんなケイをしっかりと抱きしめて、俺はハッキリとこう宣言した。
「世界一愛してんだよ、ケイのこと」
「はいはい、嬉しいわありがとう」
おなじみのセリフを口にするケイの顔は、いつになく幸せそうだった。
世界で一番は君(らぶらぶだねぇ〜。ね、ロイド!)
(そうだな…ってしいな!何赤くなってんだよ!)
(ったく、場所をわきまえろってんだい!ったくぶつぶつぶつ……)
(……二人とも、幸せそう、です)
(プ、プププププププレセア!ボボボ、ボクたちも、け、けけけ、けっこ…!)
(あら、気が早いわよジーニアス)
(若いとはすばらしいことだな)2011.09.15 修正
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