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きらきらのあさ

※初エッチを経た翌朝のお話です。
 初情事編”今夜は君を離さない”を読まなくても
 問題なく読めます。


シャワーから上がると、ヤマトさんはダイニングテーブルに朝食を並べているところだった。

「朝ごはんの準備ありがとうございます。」
「いえいえ。僕そんなに料理得意じゃないし、簡単なもので悪いけど。」

テーブルに並んでいるのは目玉焼きご飯とお味噌汁だ。
私の胃袋は素直に反応してキュッとなった。

「私、目玉焼きご飯って大好きなんです。」
「そう?」
「本当に。世界中の人が食べたら病みつきになる料理だと私は思ってますよ。」
「それは言い過ぎ。」

そう言い小さく笑うヤマトさんを見て温かな気持ちが込み上げた。それと同時になんだか気恥ずかしくて彼を直視できないこそばゆさも私にはあった。
だって、昨晩ついに私達は……
擦れ違ったり色々あったけど、身体を繋げるという行為は凄く幸せなことだった。
ヤマトさんのことをこれ以上好きになれないぐらい好きって思っていたけど、もっともっと好きになってしまった。
そう、だから今、幸せで胸がいっぱい。

「いただきます。」
「どうぞ、召し上がれ。」

椅子に座り両手を合わせて、彼をチラリと盗み見した。
お味噌汁を啜る貴方はいつも通りの平常運行。なんだか悔しくなるほど落ち着いている。どうしてそんなに冷静でいられるの?
だって、裸を見せ合ったんだよ。というか、それ以上にああいう時に思わず漏れちゃう声とか。快楽に溺れて自分がぐしゃぐしゃになっていくとことか…普通に考えたら、とてつもなく恥ずかしい姿を好きな人にお披露目したってことだよね。
それはもちろんお互い様な訳だけど。雄全開のヤマトさんもしっかり見ちゃったし。
って、朝から私は何を考えているのだ。
お椀に目を落としお箸を持ったまま、頭の中が煩悩に支配され静止している自分に喝をいれた。せっかく作ってもらった朝ごはんがどんどん冷めてしまうではないか。
冷静な彼をもう少し見習うべきだ。そう思い本日二度目の盗み見をした。
すると、目を疑う光景に私は思わず大きな声を出した。

「ヤマトさん!!お醤油!零れてますよ!!!」
「えっ!?うわあ!」

彼の手が傾けるお醤油さしは、お茶碗の上に乗った目玉焼きの上からはずれてドバドバと机の上に注がれているではないか。
私の声でハッとした様子で気づいた彼もまた驚き慌てていた。

「え?ええ?名前ごめん、そこの布巾取って!」
「は、はい。あ、床にも垂れてますね。もっと布巾取ってきます。」

慌てて立ち上がり、キッチンの戸棚から布巾を数枚取りだし少し濡らして戻った。
ヤマトさんは机を拭いていたので、私は床に取り掛かろうとしゃがみ込むと醤油の黒が結構広範囲に飛び散っている。うーん、これは大変そうだ。
とりあえず一番大きな水溜りを目指して端から綺麗にしていく作戦でスタートだ。

「あー、僕なにやってるんだろ。」

大きめの水溜りを攻略し小さく飛びちったお醤油を拭っていると、机を拭き終えたヤマトさんはため息交じりに呟き床掃除に参戦しだした。

「ふふ、すごい勢いで机にお醤油注してたからビックリしましたよ。」
「それは……ぼーとしてて……頭の中が昨日からのことでいっぱいなんだ。ちょっと…いや、ちがう、相当浮かれてる。」

突然の告白に私は目をぱちくりさせた。
驚き目を見開く私とヤマトさんは一瞬目線が合わさったものの、彼はすぐ恥ずかし気にお醤油によって作られたいびつな水玉模様の床へ目線を戻した。
そんな彼が愛おしくて胸がきゅってなった。幸せがまた降り積もってきて窒息しそう。

「恥ずかしながら打ち明けますと…私も昨晩のことを何度も繰り返し思い出してとても幸せな気持ちに浸ってます。」

こちらも自白すると目線がやっと合わさった。
彼の目には赤ら顔の私が映っていることだろう。
でも、それはお互い様だから、いい。
貴方の頬も同じ色だ。

「一緒だ。」
「そう、一緒です。」

くすりと二人して笑った。
そして、私は上機嫌で床拭きを再開した。
だがすぐに、せわしなく動く手はヤマトさんによって阻まれた。
私の手の上に彼の大きな手がそっと重ねられたのだ。
顔を上げると次は熱の籠った瞳でまっすぐ見つめられ、思わず瞬きを忘れていた。

「あのさ、名前…また泊まって。」
「…はい。」

また一つ幸せが舞い落ちた。
真剣な瞳で私を請うこの瞬間の貴方を一生覚えていたい。
私を見つめる彼の瞳を忘れてしまわないよう必死で心に焼き付けた。


おしまい

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2019.8.10
ヤマトお誕生日おめでとう。もう本当に好きです。
生まれてきてくれてありがとう。