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お迎え おまけ

朝、目が覚めるとこれでもかとばかりに目を見開いたヤマトさんの顔があった。

そして、思った。
やばい、言い訳考えれてない。

慌てて何かいい案はないかと、寝起きの脳内で必死に考えたけれどまったく浮ばない。

“好き過ぎて一緒の布団で寝たくなっちゃいました。“

こんな本音は言えるわけない。
これ以上引っ張ったらヤマトさんの方から聞かれてしまうかも。
焦った私はとにかく逃げることにした。

そそくさと立ち上がり、じゃあまた後で、と言い襖を閉めてとりあえずホッと息を吐いた。着替えてる間になんとか考えよう!

そして気付いた。あっ、お礼言ってないままだ。
これ以上宿題を抱え込むのは嫌だったので、襖越しだけど、とりあえずお礼を告げた。
ちゃんと顔見て言うべきだよね?とは思うけど、もう一つ大きな課題ができてしまったんだもの。
ちょっとやっつけ仕事的なお礼の仕方だったけど、まぁ良しとすることにしといた。
ヤマトさん、ごめん!

着替えている時も、メイクしている時も、寝癖を直している時も考えた。
考えに考えたのだけど……何も思いつかなかった。

そうこうしているうちに、朝ごはんに行きましょう、とヤマトさんが私の部屋をノックしてきてタイムアウトだ。マズイ。

向かい合って朝食を取っているとついに聞かれた。

「昨晩はどうされたんですか?」

うん、なかなかオブラートに包んだ表現だな。
なんで僕の布団にいたんですか?とは、聞かない彼の優しさが心に染みる。

結局、私は
「………私もよくわかりません。」
と、答えていた。
彼の頭にはハテナがたくさんとんでいる。

「…………本当によくわからないんです。」

うん、本当にわからないのだ。
今までの自分からじゃ考えられない大胆な行動に、自分自身どうしたらよいのか戸惑ってしまう。

恋って凄いな。
きっとこれからもどんどん新しい自分に出会って、戸惑って、恥ずかしいけど幸せで。
そして益々彼に溺れていくんだろう。


おしまい