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恐ろしい助っ人

この前名前さんと過ごした時間は本当に幸せだった。
あの日、彼女が茶目っ気たっぷりで僕をヤマト隊長と呼んだこと
真剣な顔で印を結ぶ真似事をしてきたこと
忍術にやたらとはしゃぐ姿

何度も思い出しては、自分の顔が緩んでしまう。
そして早くまた会いたい、もっと君のことを知りたいって思考に陥る。

でも、あれから薬局を何度覗いても会えない。
はぁ。

今日は朝からスリーマンセルの巻物奪還任務だ。
Aランク任務だが、敵の属性や戦闘方法が事前に他の班から報告があったため明日の夜には里に戻れるだろう。
 
時計の針は集合時刻の10分前をさしている。
次、集合の門に来るのはどっちが先だろう。
サクラか、サイか。

あっ、ピンクの髪が近付いてきた。
サクラだな、名前さんに何垂れ流したのか問いたださないと!

表情が確認できるほどの距離になって悪寒が走った。
あぁ!もう!なにニタニタしてるんだよ!

「隊長ー!恋しちゃってるらしいじゃないですかぁ!」

うわぁ、いきなりズバッとくるな。
情報源はカカシ先輩だ。絶対にあの人だ。
僕は顔を引きつらせながらなんとか言葉を紡いだ。

「だ、だれから聞いたのかな?」
「カカシ先生と隊長の恋を応援しようねって話ついてますから安心して下さい!」

万編の笑みで答えるサクラ。
二人とも余計なことはしないでくれ!

「いや、気持ちだけもらっておくよ。それよりサクラ、名前さんに何か変なこと話してないよね?」
「隊長はエリート忍者だ、って話してますよ。」

サクラの目が一瞬泳いだのを僕は見逃さなかった。
それに、いかにも用意しときましたって回答がなんか怪しいんだよな。

「本当に?」

すると何かやましいことを誤魔化すかのように、サクラは僕から目線を外し髪を耳にかけた。

「疑ってるんですか?私せっかく隊長のことを思って名前さんのシフトをチェックしてきたのに。」
「えっ?シフト?」

それは知りたい。なんでか会えないんだよ。

「隊長が興味ないなら私はかまわないんですよー。」
「いやいや、ちょっと待って!」

途端に形勢逆転され必死になる僕にサクラは黒い笑顔を浮かべている。

「私、任務の打ち上げは焼き肉が食べたいかな。」
「ああ!もう!それが狙いだったんだろ。焼肉でもなんでもおごってやるさ!」

語尾にハートをつけて言ってきた。
カカシ先輩は部下に上手いたかり方まで指導しているんだろうか。

「明後日、一日オフならしいです。名前さん休みの日はよく商店街をうろちょろしてますよ。」

たしかに前会った時も商店街の本屋さんだった。
明後日はこの任務を予定通りこなせれば僕も非番のはず。

「そうか。ありがとう。ところで名前さんは最近どういう仕事をしてるのかな。」

痛い出費を伴うんだ。
このぐらい聞いてもいいよね。

「最近やっと薬剤部も人が戻ってきて指導や調合に集中できるようになったみたいです。名前さん人がいいから雑用でも何でも引き受けますけど。」

そうか、何度足を運んでも会えないわけだ。
もとから受付をするために里に呼ばれた訳じゃないってことに今更気づいたよ。

そこに最後の一人のサイがやってきて涼しい顔で聞いてきた。

「何の話ですか?」
「隊長の恋の話ー!」
「ええっ!サクラ!そんなに言いふらさないでくれないかい!」

思わず目玉が飛び出そうになったじゃないか!勘弁しておくれよ!