メリル


膚の乾き切らぬ山椒魚が、ぼうっと口を開けたような、生々しい夜明け時。スライスされた檸檬が海水に浸されて波間に漂う、そんな汗。海面から頭を覗かせる太陽は、天国と同じぐらい眩しい。人が、元々瞳を持たない生き物だったなら。仮定を肯定する進歩も、否定する停滞も、自分には無かった。
「タオさん、あなたは自分の名前を気に入っていますか?」
「ええと、考えたこともありませんでしたが……気に入ってますよ」
本当に? 軽率な答えは、時に無言の返答よりも疑いを深くする。仕方ないのだろうか、言葉はどう使っても齟齬が発生するものだから。
「例えば、どんなところが?」
「そうですねぇ……二文字で読みやすいですし、穏やかな雰囲気が良いと思います」
素朴な調子で、かの釣り人は述べる。名は体を表す、彼が良いという穏やかさは確かに彼の周りに纏っているようだ。
「メリルさん、あなたはどうですか?」
「嫌いですよ。『輝く海』なんて、ただただ眩しくて果てしなくて、私には堪えられません」
そのうち水平線と空の境界まで認識できなくなり、山中でのホワイトアウトより恐ろしい狂気と恐怖に出会いそうな、おっかない名前だ。


非情な暁光が、この髪を焦がす。眩い光なんて散々だ、広漠な海なんてそびえ立つ畏怖でしかない。

「私には、メリルさんは輝く海に見えますよ」
「そう。だから、私は、私自身が……」

例えば、この名前ではなかったとしたら。
自分という存在は、変わったのだろうか?




*・゜゚・*:.。..。.:*'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
メリル→ゲール語で『輝く海』

響きが可愛くて、このメリルという名前が大好きです。わくアニ女主のお任せ名前候補にも入ってます。しかし、調べてみたらこんな意味もあるらしくてすてきー!と萌え転がりました。ビジュアルはヒカリでもアカリでも。
二つある箱の中に、それぞれ別の誰も知らない中身が入っていたとしても、どちらの箱の中身も『ヒカリ』と呼べば、それぞれの箱の中身である○○○も▽▽▽も『ヒカリ』になるんでしょうかね?


2013/06/30 23:35



 ダンヒルさんとリオちゃんの可能性


ダンヒルさん+リオちゃんって、かなり素敵だと個人的に思うんですよ(唐突)
はじまりプレイ後から時間が経ってしまったのであやふやな所もありますが、個人的な萌えポイントを箇条書きで。
・胸の赤いひらひらがお揃い
・最初の運命の出会い
・ダンヒルさんが毎日夢の中でリオちゃんを呼ぶ
・ダンヒルさんの盗撮の量がリオちゃん写真は他写真の倍以上
・ダンヒルさんはリオちゃんの両親を知っている
とか、ですね!!
一番上以外はハルトくんにも当てはまります。でも、一番上がかなり重要です。妄想において。
ダンヒルさんは過去にかなり放浪癖があって奥さんと子供に逃げられているという経歴持ちです。服装は西部劇のカウボーイのようで牧場経験もあり様々な職業を体験した経験者です。そしてリオちゃんもカウガール風の服装で、あろうことか胸のひらひらがお揃いです。何故でしょう?彼らは、はじまりの大地で偶然出会ったのでしょうか?
というどうでもいいことからのどうでもいい妄想ですが。まずリオちゃんは、ご両親からあの小さなボロボロの牧場をプレゼントされています。ダンヒルさんの話から、昔町を出ていった若者の中にご両親も入っていたのでしょう多分。そこに、カウガールの格好をしてやってくるリオちゃん……牧場やる気まんまんに見えますね。
ダンヒルさんはよくリオちゃんのお父さんの話をします。同じように、少なからずリオちゃんのお父さんもダンヒルさんと親しくしていたと仮定します。ダンヒルさんは色々と経験者かつスーパーマンで時々放浪者なので、話のネタには尽きません。もしも、リオちゃんのお父さんがそんなダンヒルさんと牧場をやっていた自分のことをリオちゃんに語って聞かせていたらどうでしょうか。もしも、リオちゃんが話の中のダンヒルさんとお父さんに憧れたら、どうでしょうか。カウガールのような格好も、寂れた牧場でもやる気まんまんで一人でやってきたことも、何となく想像がつきます。
彼女は街の人たちが決めたわくわくプラン達成をけして諦めることなく、遅かれ早かれ達成していきます。牧場と町がどんどん発展していきます。そう、全てはダンヒルさん一人の夢物語ではなくて、リオちゃんの強い意志が動かしていくのです。まさしくゲームのように。
実際に現実のプレイヤーさん達から、鬼畜プランを作り助力するといいながら手伝わない上から目線ないけすかない上司、というような感じでかなり嫌われてる印象を受けるダンヒルさんですが、リオちゃんは全くそんなこと気にしないでむしろ町づくりと牧場の発展のためにやってきたから当たり前、という意志を感じるんですよね。もし私だったらえーやだ!で終わります。リオちゃんはダンヒルさんにとっても、眩しいほどの意志と力と若さを持っていて、かつての若かったリオちゃんのお父さんのことを思い出したりして、頼りになり懐かしい存在なのだと思います。

……妄想!楽しい!ですね!!!いえい!
確かにダンヒルさんの事情はカバー出来ない点は多いですが、祭りやコンテストの主催や準備はダンヒルさんがやってくれてますしね!家移りの住民手続きとかもきっとダンヒルさんがやってくれてるんですよ!例え、道の舗装&住宅建築&牧場経営などなどリオちゃんが頑張りすぎるほど頑張っててもですね!全然対価になってないよねと思いますけどね!ダンヒルさんもうお年ですし、上記に述べたようにリオちゃんは全然気にしないしコンテストや祭りの時に純粋にダンヒルさんありがとうって!心の底から感謝すると思うんですよ!

総合的に言いたいことは、リオちゃん天使です!!


2013/06/25 00:18



 やすわく主人公VS

もしもやすらぎわくアニ主人公が格闘ゲーのキャラだったら…と妄想したら色々書いてしまいました。ほぼ創作。
格闘ゲーによって仕様が違いますが、なんとなくコンボをためると必殺技を繰り出すことができて、精神力は牧物でいう体力やRPGとかでいうMPみたいなものだと。このステータスが多いほど必殺技の効果も大きくなります。武器はあらかじめ決まってますが(最大能力を引き出す組み合わせ)主人公なので他装備も可能。その際はまた必殺技や攻撃も変わってくる…という適当無駄設定。
【】→必殺技

タケル(攻撃×、防御◎、素早さ△、精神力○)武器→クワ
ガードが固く、強攻撃でもガードブレイクせずに防げる。攻撃力が低いので、ダメージの多いカウンターを使い攻撃側にどう立ち回るかが重要。長期戦になると本領発揮。
【畑を耕す】
仕事を完璧に終わらせるように、攻撃も確実に連続コンボ。
【住民に挨拶をする】
新たな情報を手に入れ、攻撃&防御力&精神力がアップ。
(勝利)
「…ボクが、勝っちゃった。
大丈夫? 手当て、手伝うよ」
(敗北)
「ボクの負けだよ。君、とても
強いんだね。すごいなあ」


ユウキ(攻撃○、防御×、素早さ◎、精神力△)武器→カマ
リーチは短いが、素早い手数でコンボを繋げられる。通常攻撃側にいる時はとても強いが、コンボを遮られて攻撃されると瞬殺される可能性あり。必ず短期戦で終わらせよう。
【烈風傷】
風圧で起きるカマイタチで連続攻撃。
【斬撃波動弾】
弾のように回転を加えながら相手に強烈な攻撃を食らわせる。
(勝利)
「当然、オレの勝ちだよな。
参ったな、ファンが増えちまうぜ」
(敗北)
「なにっ!? オレの負けか…。
ちくしょう、覚えてろよ!」


アカリ(攻撃◎、防御△、素早さ○、精神力×)武器→ハンマー
強攻撃の威力が凄まじく、相手をスタン状態にさせる。弱攻撃も強攻撃も強いが、連発しすぎて精神力が無くなり自分がスタン状態に陥るために注意。
【オーバーヒート!】
熱くした武器で相手に殴りかかる。
【エウレカ!ダイヤモンド】
ダイヤモンドを見つけた時の喜びで大幅に攻撃力アップ。
(勝利)
「やったね!大勝利っ!
また一緒に勝負しようね!」
(敗北)
「あちゃー、負けちゃった…。
次こそは絶対勝つよ!」


ヒカリ(攻撃△、防御○、素早さ×、精神力◎)武器→釣り竿
リーチが長い遠距離攻撃が唯一出来る。攻撃発動と移動速度がとても遅いが、トリッキーな動きを利用して相手を錯乱させつつマイペースに持っていこう。精神力の多さから、必殺技が最強。
【おさんぽしませんか?】
釣り針に引っ掛けられて振り回されたり引きずられる。
【いとはいたいよ】
釣り糸にぐるぐる巻きつけられて締め付けられる。
(勝利)
「わあ、うれしいな。そろそろ
終わりそうだと思ってましたから」
(敗北)
「うーん、残念ですねえ。
まあ、たまにはいいかな」



2013/06/17 12:38



 まほまじょ


約束。二人だけの、秘密の約束。
人間の俺と生意気な魔女の、小さな約束。

「あんたはずっと、町で人間と共に生きなさい。
あたしは、森で一人で暮らすわ」

ずっと。その期間は一体どれぐらいのことだろう。百億の昼を超えるのか、それとも、千億の夜を迎えるのか。

「……俺も、森に住むことは?」
「ダメ」
「……君も、町に住むことは?」
「ムリ」

星の光のような長い白髪が、不自然な顔にふわりとかかる。

「あたしはね、恐ろしい魔女なのよ。許せないの」

嘘であり真実である事実を、魔女は笑う。
子供を見る瞳で、俺を見透かす。

「恐がられる役は、一人で充分」

だから、約束。秘密の約束。
違う場所で同じ時間を生きる、約束。


人間の青年が、いつしか本物の魔法使いになった時。
女神が朽ち果てかけた時。
再び、その約束を思い出す。
いつまでも癒えない、傷のように。



2013/06/15 23:22



 タケリナ


うるさい鼓動にちらつくノイズを、手荒に静かにサイレンサーで抑えて。さも君だけが恋に焦がれているように見せる。僕は、臆病者だから。
「タケルさん。また、明日も会えるわよね……?」
「勿論、また明日も会えるさ。リーナさんが僕に会いたくないと願えば、僕は明日に会いたくないけど」
黄昏時の彼女は、午前中の彼女より三歳程歳を取ったように見える。彼女が一日で最も美しい時間は、晴れの日の温かい日差しの中だ。
「ふふ、私は、ずっとタケルさんに会いたいわ。今だってタケルさんとこうして話していられるんだもの、とても幸せよ。でも、私ばっかり、何だか狡いわ……あ、ごめんなさい」
不意に漏らした、ちょっぴり恨みがましい一言を、咄嗟に謝罪するリーナさん。影の色の小麦色が、服の生地の黄色をより際立たせて。
「ううん、大丈夫。それに……君だけじゃないよ。僕も、自分ばっかり好きなんじゃないかって、やきもちしてしまう」
「まあ、あなたがやきもちだなんて! じゃあ、私の方が狡かったわね。わがまま言って、タケルさんのことを、困らせて」
茶目っ気たっぷりにリーナさんはそう言う。僕の言葉が、冗談だと思っているのだ。確かにリーナさんのように吐露することは無いけれど、だからと言って嫉妬しないわけではない。苦い苦いコーヒーが染み込むように、僕の心を嫉妬に染める時だってある。
「君が僕を好きで、本当に、本当に嬉しいよ」
ああ、もし君が他の男を好きだったら、僕は酷くみっともないことになっていただろうから。君が僕を好きでいてくれる今と、それを約束した明日があることに深く感謝するんだ。



2013/06/05 06:53



 カルアカ


樹木の年輪を数えて地学に生かすことは素晴らしいが、俺個人の年齢はなるべく秘密にしておきたいものだ。特に、意図して魅力的に見せたい時には。
「君の親御さんと、肩を並べられるぐらいかな」
思ったことはすぐに質問してくれる率直な彼女に、俺はそう伝えた。何秒間か目をぱちくりさせて、俺でさえ半ば意味のわからない言葉をよく噛み締めてくれている。
「それなら、五十歳ぐらい……だよね?」
「さあ、どうだかな」
明確な数を提案されると、思った以上にその数の脅威に押しつぶされる。対する彼女は、五十年前にはどんなことがあったか、いつ考古学に興味を持ったのか、などなど興味と質問が尽きない。
「そんなにいっぺんには答えられないな」
「あっ、そうだね。でもね、 知りたいんだ……カルバンさんの、こと」
困ったように顔を俯け、指を空中で弄ぶ彼女を、今まで活発な童女そのものと見ていたのに、心に湧き上がる静かな興奮は一体何なのだろう。脈が心臓を突き上げ、俺はリンゴのカクテルの最後の一口を飲み干す。味覚が麻痺しているのか、リンゴのように赤い赤い血でも入っているのか、苦く甘美に思えた。
「知れば良い、もっと、俺のことを」
「ほんと? じゃあ……カルバンさんって、好きな人いる?」
「さあ、答えられないな」
依然として曖昧な態度を取り続ける俺に、とうとう彼女が怒り始めそうになるもんだから、そっと優しく耳元で言い聞かせる。
「答えは、アカリが自分で見つけるのが良いさ」
彼女も俺も、じんわりと酔いが回ってきたらしい。それと同時に、本能的な意思疎通の感覚も研ぎ澄まされているに違いない。目を見つめ合うだけで、ほら、多くのことがわかってくるだろう?



2013/06/03 22:36



 ジュリヒカ


「ヒカリのその髪型ってステキよネ。毎朝どうやってセットしてるの?」
「ああ、ほぼ寝癖と髪の癖です。全部」
寝ぼけ眼で目をこすりちっとも特別なそぶりなんか見せないヒカリに、アタシはとても驚いた。
「嘘でショ!? そのうなじのカールとか、サイドの内巻きと外はねが両方寝癖で出来るなんて……信じられないワ!」
「じゃあ、私の寝起き姿、見てみますか〜?」
ふわふわと気安く言ってのけるけど、人の寝起きを見るなんてアタシにとってプライバシーの侵害と捉えるぐらい大事件。まあ、結婚でもしている夫婦なら別なんだけどね……まだそうじゃないし。
「そのうちネ。それに、男心を掴む甘え上手な垂れ目とカ、透き通る桃色の肌とか、まだまだ教えてほしい美の秘訣はたくさんあるわヨ」
「うーん、ジュリさんの方がよっぽどきれいだと思うけどなあ。もしかして、ジュリさんにだけそう見えてるんじゃないですか?」
自身家とも取れる発言。だけど、やっぱり本人は気づかないものみたい。
「何言ってるノ。誰の目から見ても、日々可愛くなってるわヨ。強い恋心が最高のメイク、だったりしてネ」
緩やかに笑うヒカリのごまかし、アタシ、嫌いじゃないわ。



2013/05/31 10:08



 タオリナ


大きな牧草地の手前にある小さな彼女の家を訪ねて、木製のドアを軽くノックした。何も返事が無かったので、垢に塗れたドアノブを握って、引いてみる。遠くの牧草地で、牛と羊が一斉に返事をしてくれた。どうやら、動物たちはお留守番をしているらしい。
(困りましたね、せっかくここまで来たのですが……)
引き返して、メープル湖やカラメル滝で余った時間を弄ぼうと考えたが、すぐに帰るには口惜しい思いが消えない。ブラウニー牧場は、漁協のあるワッフルタウンから結構遠い距離にある。日々見かけるリーナさんの顔は、そんなブラウニー牧場と漁協の中継地点でもあるカラメル滝周辺にやってくるのだ。そこがいわば行動する理由上自然な距離と場所、の限界だ。今日はたまたま休みを取り、漁協の帰りだと遠いが家からなら近いという利点があるため、わざわざブラウニー牧場に赴いた。いつも滝で真剣に釣りに挑む彼女は、普段どのように過ごしているのか、とても気になって。
それでも、いないのなら仕方ない。親御さんもいない所、備品のお使いという類いではなく、休日に家族揃っての水入らずな買い物を町で楽しんでいる、といった感じだろうか。いつもは町の漁協で働く自分が、今日に限って町に不在とは、運が悪いのか休日の使い方を誤ったのか……どちらにしても、酷く残念だった。あからさまな用事や必然性を感じる行動ではないため、余計にそう思う。
不法侵入、と騒がれない程度に牧草地に近づいて、適当に草むらに腰を下ろす。漠然と草原に群れる動物を見て過ごしていると、羊飼いの老人にでもなった気分だ。次第に意識は有象無象と捉えるようになり、目に見える視界全てが一枚の絵のように切り取られる。
遠景に慣れた目に、突如ぼやけたカーテンが死角を彷徨った。熟したトウモロコシ、午前中のヒマワリ、焼きたてのオムレツのようなあたたかな黄色が、揺れる。
「こんにちは、タオさん。私達の留守中、ずっとここで待っていたんですか?」
膨らむスカートの起伏に目を取られつつ、顔を見ずとも、声や雰囲気だけでここまで彼女だと確信できるようになったのか、としみじみ思う。
「はい。釣りもいいですが、休みの日にあなたに会いたいと思いまして……もう会えないものと、諦めていました」
「もう、何言ってるんですか。いつだって会えますよ」
タオさんがいつまでも待ってるんだもの、会わないわけが無いじゃない、と彼女はいたずらっぽく笑う。待つ。そんな意識は全く無かったが、思えば今までカラメル滝で釣りをする時も、自然に彼女が来るのを待っていたのかもしれない。自然に、彼女が帰るまで待っていたのかもしれない。
「そうですね。でも、これからは待つだけじゃなくて、リーナさんを迎えに来てもいいですか?」
けして鈍くない彼女の表情が一瞬張りつめ、慌てて相好を崩して「ええ、そうね」と短く言って、ああそれでね、と世間話を始めた。調子の良い言葉だと、受け流してしまったかもしれない。それでいい、本人の許可が取れたなら、気兼ねは随分軽くなる。
彼女の何気無い会話に頷き、慣れないかぐわしい牧草の香りに胸を膨らませながら、たまには釣りを忘れることも悪くない、と感謝した。


2013/05/30 18:37



 チハヒカ


ヒカリ
「チハヤさん! 今日も来ちゃいました〜。お元気ですか?」

チハヤ
「…………はあ?何の用?」

ヒカリ
「どうしたんですかあ、チハヤさん。あっ、私ここにやってきたばかりでまだ作物も植えてないし動物もいないんですが……チハヤさんとはご近所になるわけですし、これから仲良くなれたらいいんって」

チハヤ
「それで、そんなずかずかと遠慮無く昨日会ったばかりの人間の家に踏み込めるってわけか……君の名前覚えてないんだけど、覚えたくもないな」

ヒカリ
「あれえ、覚えてないんですか? 私の名前はヒカリです。よろしくお願いします〜」

チハヤ
(何だこのしつこい奴……適当に言っとけば逃げるでしょ)
「君、頭足りないでしょ。皮肉、わからないの?」

ヒカリ
「アイロニーですか? 遠回しに非難することですよね。それが?」

チハヤ
「僕が、君を、非難してるんだけど」

ヒカリ
「ええ〜!……なーんて、気づいてますよ。これで安心だねえ」

チハヤ
(駄目だこいつ、はやくなんとかしないと……)





当サイトでは大分ヒカリちゃんがミステリアスかつマニッシュな大人のお姉さんで話が暗くなりがちですが、そういえばおっとりマイペースのほかに「明るく」マイペースともあったなあーと思い出して、自分なりに明るいマイペースさんイメージでヒカリちゃんをやってみました。チハヤくん、じゃなくてチハヤさ〜ん!って無邪気に慕ってるとかわいい。
チハヤはめっっっっちゃ嫌がり気持ち悪がりつつ、実は既に手中に落ちていることに気づかないのである……


2013/05/27 02:42



 ニル主♀


熱狂するライブのステージでニールさんが歌っているかと思うと、普通ならかっこいい! 素敵! って思うのかもしれないけど、私はどうもそうは思えなかった。
「ニールさん、デス声とかも出るんですか?」
「お前が何を勘違いしているか知らないが、俺はギタリストだ。ボーカリストじゃない。ば〜〜〜か」
今日何度目のば〜〜〜か、だっただろう。ぼーっと空中を見ながら、ニールさんが歌って踊る滑稽なアイドルグループの一員で素敵なスマイルを繰り出す所を想像していて、言い返すことが出来なかった。
「お前、いつも上の空だよな。そんなんだから騙されて損な役回りばっかさせられるんだよ。わくわくプランとか」
「うう、プランの鬼畜具合をご存知なのに助けてくれないんですかあ……?」
「誰が助けるか。お前が勝手にダンヒルのおっさんの話に乗ったんだろ。ば〜〜〜か」
またもやば〜〜〜か、が飛び出して、この長いば〜〜〜かによって私の鈍間な会話テンポが上手いこと埋められていることにふと気づき、だから何だという話だった。彼は無意識にリズムを取っているのかもしれない。現に不規則に私が黙ると、必ず向こうから話してくる。まあ落ち着きが無いだけなのかもしれないが。
「おい、もしかして凄く失礼なことを考えてないか」
「そんなことないです。ニールさんとの会話は目玉焼きを作ろうとして、卵が双子だった! ぐらいに嬉しいんですよお」
「例えが意味わかんねぇよ!?」
熱くなって噛み付くように吠えるが、私はもう慣れっこになってしまった。最初のうちは涙目になって、ぶるぶる震えてしまったものだが。
「私は人のためになることが好きですし、ダンヒルさんのために働くなら何の悔いも無いんですよ……!」
「変人だな」
「それと、ニールさんの流行っぽい挙動を見るのも大好きなんです」
「は? 流行っぽい挙動?」
「はい〜ツンデレでビジュアル系な所とか〜」
「っ……お前……!」
何の悪気も無く言ったのだが、どうやらまた彼の逆鱗に触れたらしい。また、というように何度もあるのだ。彼をいらつかせることに関しては天才級の才能を持っているのが、悲しい。
「ご、ごめんなさい! あの、でもですね、そんなニールさんが大好きなんですよお」
彼同様不器用な私の思いは伝わったらしく、
「……ったく、お前はいつもとろくさいしめんどくさいけど、俺だって好きじゃなかったら話しもしねぇ」
そう言って耳を赤らめるニールさん。
「……良かったあ! 赤くなったニールさんもリンゴみたいでかわいいですねえ」
「全然嬉しくねぇ、そんなこと言われても……大好き、って言われた時は嬉しかったけどよ」

電波牧場主とツンデレギタリストの恋人関係。



2013/05/02 02:20



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