その孤独の輪郭をなぞって
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「で…卒業試験は分身の術にする。呼ばれた者は一人ずつ、隣の教室にくるように」
【その孤独の輪郭をなぞって】
うわぁ、予想に反して滅茶苦茶簡単なの来ちゃったよコレ。やばい。
何がやばいって、これはすんなり合格してもおかしくないってか、ミズキてんてーしょっぴくフラグを折りかねない。
「やっべー…」
「次!うずまきナルト!」
そんな事を考えているうちに私の番が回ってきてしまった。
正直どうやって試験に落ちようかと考えに考えた約5秒。
結果、単純に手を抜くことにした。
確かナルトはお粗末な分身を作っていた気がする。
あ、いや、気がするっていうのは実は私、ナルトに転生する前に色々あって実は精神年齢100歳近かったりすることもあって、原作初期をすこーし忘れてたりするわけで。
「ま、どうとでもなるでしょ」
―――…
「よくやったさすがオレの子だ!!」
「これで一人前だねオレ達!!」
「卒業おめでとう!!今夜はママごちそう作るね!!」
で、今に至るわけですが。
あのあと滅茶苦茶手を抜いて試験に挑んだ私は見事不合格。
自分でも爆笑しそうなくらい使い物にならない分身を作りだし、ミズキの同情をひきつつの不合格となった。
で、校庭のブランコにて合格者である(三度目の)同級生を見つめていた。
正直、今年でこの光景も見収めかと思うとなかなかに感慨深い。いっそ先生の心境だ。
そんなことを考えていれば私を見て陰口を叩く母親連中。
ああいう輩はどの世界、どの時代にもいる残念な人種だとつくづく思う。
ていうかさ、禁句言ったら火影のじっさまに叱られんのあんたらなのによくもまぁ本人目の前にしてギリギリまで言うよね。
「ま、伊達に女社会生きてきた訳じゃないのよね」
あんな陰口痛くも痒くもなければ、正直何も感じないんだよね残念だったな化粧ババアども。
「ナルト君」
「んぁ?ミズキ先生?」
そんな失礼なことを考えてたらこの度の私の標的(犠牲者)ミズキてんてーのご登場。
親身なふりして私の事を嘲笑ってる残念なフツメン。
何が残念って、私が彼の演技に騙されてると思ってたり、私が残念な人を見る目でミズキてんてーの顔を見てる時に、庇ってもらって感動してるように見えているらしいこととか、それをこの前でっけー声で一人笑ってたりだとか。
いや、本当に残念だよねこの人。
そんなてんてーに人気の無い場所に連れ出された。
「自分に似てると思ったんじゃないにかな?君には本当の意味で、強くなって欲しいと思ってるんだよきっと…」
あー、今日も良い天気だなぁ。
帰って洗濯物干さなきゃそろそろダメだよねー。
とか、ミズキてんてーの話半分にそんなことを考えてたらそんなことを言われた。
まぁ白々しい事この上なしなんだけど、きっと「私」じゃないナルトには、凄く優しい言葉に聞こえたんだろう。
……だがカカシ。じゃなかっただがしかし。
そこは見た目ナルト中身は「私」なわけで。
「仕方がない。君にとっておきの秘密を教えよう」
さぁ、祭りの幕開けだよ『ナルト』
その孤独の輪郭をなぞって
(とりあえず、火影のじっさまを悩殺しに行きますか!)