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同じ事の繰り返しはつまらない。
もっと刺激が欲しい。
なんて言う人もいるけど、私は同じ事の繰り返しが何よりも安心できる。
平日は学校で、休日はバイトで、一日のほとんどを潰す。
たった一人で。
それが私の日常。
「おはよう、霧嶋さん」
なのにどうして、私は挨拶などされているのだろうか。
「霧嶋さん?」
「…………おはよう、阿佐ヶ谷くん」
「うん。おはよう」
昨日の事は、昨日の内に終わらせれていたはず。
だからもう彼と話す事は何もないし、彼と関わる理由もない。
そしてそれは彼も同じ。
今さら、挨拶をしてまで私と話す事なんてないはずなのにどうして。
「霧嶋さん、土曜日、空いてる?」
「……」
「良かったらえい」
「空いてません」
「……そ、そっか。あ、じゃ日曜は?」
「空いてません」
昨日と違い、周りに多数の生徒がいるせいかやたらと視線が突き刺さる。
相手が違えば、或いはここまででもなかったかもしれないが。
「……じゃあ、いつ空いて」
「空いてません」
「……」
「……予鈴、鳴ったから」
「ずっと先でもいいから空けてよ、予定」
「…………は?」
「昨日、確かに俺はフラれたけど」
「……」
「諦めるつもりはないから」
彼の発言を合図に、さらに多くの視線が身体中に容赦なく突き刺さった。
変化=脅威
(まだ、罰ゲームを続ける気?)