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いつ頃からそうなのか。
心当たりはあるけれど、断固としてそれが要因だと言い切る自信はない。
「……ごめんなさい」
「……あ、や、そ……う……だよ、な……ごめん……いきなり」
「いえ」
自(みずか)らは勿論、相手から寄ってきたとしても私はそれをスパリと断ち切るのが得意だ。
喋らないわけじゃない。
無視をするわけじゃない。
だけど、一定以上は踏み込ませないようにしている。
他人を己の領域に踏み込ませても、いい事などありはしない。
当然だ。
自分という人間はこの広いようで狭い世界にたった一人しか居ないのだから。
「じゃあ、私はこ」
「っあの!」
「……」
「あ、ご、ごめんっ!な、何か言いかけてたよな?」
「……いえ。別に。キミこそ、何?」
「あ……や、あの……その……理由、とか、その、」
「……理由?」
「そ、の……ご、ごめんなさい、の理由を……知りたいな、と思って」
「……」
「あ、でも、むっ、無理にはその、あの、」
「キミは、キミだから」
「…………え?」
「……キミは、私じゃない、から」
「……え、と、」
「……」
「……」
「……じゃあ、私はこれで」
私は他人を理解出来ない。
それと同じように、他人も私を理解など出来やしないのだ。
拒絶=安心
(……理由なんて知って、どうするの)