中篇 | ナノ

【アレマリ】2010-09-11


※アレマリ
※台詞のみ
※映画後アレルヤ死ネタ

「ハプティズムさん」
「…はい」
「やっぱり退院、なされるんですね…」
「あの人が、望んでる事なので…叶えてあげたいんです」
「容態も、いいとは言えません…」
「ええ、本人も十分解っています」
「まだ、30代です。頑張って治療を続けたら、きっとよくなります!」
「……んです」
「え?」
「よく、ならないんです。自分達の体のことは、自分達が一番よく知ってますから」
「……」
「あの人がね、言うんですよ。『そらで死にたい』って」
「今まで、何をするのも。出会ってからずっと悩んでいたあの人が、やっと言ってくれた事なんです。…私は、それを叶えてあげたい」

「マリー、宇宙だよ」
「そうね…アレルヤ?」
「僕、こうしてそらから地球を見るのが好きだったんだ」
「そう」
「人を殺した後も、こうして地球を見ていた。…ソーマもそうだった?」
「ソーマはずっと、お父さんを見ていたわね。…ハレルヤは?」
「ハレルヤはね、僕を通り過ぎて、こうして…泳ぐんだよ、」
「ふふ、ハレルヤらしいわ」
「今…ハレルヤはなんて?」
「…わからない。もうずっと、口…きいてくれてないから」
「病気になって、ずっと体中が熱かった。ナノマシンが活発に活動してるのが手に取るようにわかって、……」
「…そ、う」
「…マリー」
「僕、は、死ぬのが、怖いよ」
「……」
「人の命を奪い続けた僕が言うのもなんだけど、こうして、老人のような身体を引きずって…生きていくのが、なりそこないの運命だと思ったんだ」
「まさかこんなに早く、お迎えが来るとは思わなかった」
「マリー」
「何?アレルヤ」
「僕は、死ぬのが、死にそうなくらい恐ろしくて、今にも泣いてしまいそうだけれど、不思議と、心が温かいんだ」
「心残りといえば、君を置いていってしまう事だけれど」
「…君は強い。そして誰よりも美しいから…」
「そんな事言わないで、アレルヤ」
「僕は、嬉しいんだ」
「やっと死ねる、そらで死ねる。…そしてここに、葬られる」
「僕は…嬉しいんだ。やっと、辿り着いたような、そんな気がして」
「……アレルヤ、」
「ねえマリー?笑って僕を送り出しておくれよ」
「…貴方の旅路に、幸多からん事を、私は願います…」
「マリー、泣かないで、僕は泣いてないよ」
「悲しくもなんか、無いんだよ」
「アレルヤ、ハレルヤ、アリルイヤ…僕の主であるマリアを、守り給え」

アレルヤ、最後の一瞬

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