中篇 | ナノ

あなたがいい


何故貴方では駄目だったのかと。
誰も問い掛けはしなかった。
何故彼を忘れる事が出来たのかと。
誰も問い掛けはしなかった。

葉風に紛れる、それは秘密であった。
秋の枯れた空気も、冬の凍りつく寒さも、春の穏やかな風も、夏の熱い陽射しも。
その全てに隠される、秘密であった。

何故彼では駄目だったのかと。
自分自身で問い掛けた。
何故貴方を忘れる事が出来たのかと。
自分自身で問い掛けてみた。

本当は忘れてなどいないのに。

2013/01/22

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