中篇 | ナノ

八章二節 【閉ざされた部屋の、差し込む夕日が映る碧い瞳】




窓際に置かれた椅子に、ロックオンは深く椅子に腰掛け外を眺めていていた。
長屋作りのこのアパートの一室からは遠くに海が眺められた。夕刻だ。差し込む夕陽は眩しい。海面には今か今かと太陽が溶け出し、蜃気楼のようになっている。
ロックオンの横から腕を伸ばして窓を開けると潮風が吹き込んで、カーテンを靡かせた。
ふと、その視線の先を覗く。何をみているのだろう。
「……アレルヤ、」
名前を呼ばれ、抱き締められる。
抱き締められた腕は揺るがない。
「なあに」
「俺の事が好きなら、だきしめて」
「……うん」
そっと、優しく腕を回した。
彼のシャツを掴む指先だけが痛い。

12.08.05


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