中篇 | ナノ

七章二節 【魔女の末裔】


※マリーに愛を問い掛けるアレルヤ。


想い人は深い濃紺の宇宙のかなたへ。


火炙りにされる前に、二人が焼かれてしまう前に
幸せに暮らせた事を夢のように思い出して
焼かれ爛れて、燃え尽きて灰になるまでに
君と口付けを交わそう 忘れてしまう前に
どうか次こそは二人で幸せになれるように
どうか次こそは君が幸せで在れるように
どうか次こそは幸せな僕になれるように


魔女の末裔が、そこに心臓を残した



「愛してたんだよ。確かに愛してたんだ」
「そう。それで?」
「今は…どうだろう。愛していて、それなのにまだ苦しいんだ。ああ、こんなにも僕は君がいとおしいのに」
「可哀相な子…それは恋ね。貴方は恋を知らなかった」
「恋?これが?」
「そう、恋。幸せね、貴方が恋した人は。だって、貴方は今も未だ恋焦がれている。……愛されるって、幸せな事よ」
「……嘘だ」
「そして、愛するって、素晴らしい事なのよ」


鮮やかに紐解かれた血管が、赤みを増した

魔女の末裔は、誰だったろうか



09/07/18

prev / next
[ back ]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -