02




 最初はアホな人やとしか思ってへんかった。 

 白石部長と話してる時、あまりにも幸せそうに笑うもんやから部長のこと好きなんは丸分かり。彼女おることは有名やのに。
 アホやろ、何自分で傷口抉ってんねん。もっと他に目向ければええのに。理解できひんと思いつつ、そんな彼女に興味を持ったんも事実。白石部長と彼女が話してるタイミングを見計らい、彼女と顔見知りになった。

 それからは先輩の恋の行く末を観察するのが日課に。どんだけ暇やねん、と自分にツッコみたくなるが気になるもんはしゃーない。
 観察するとはいっても、学年も違うからたまに見かけた時に様子見をするくらい。特に変わったことも無い。彼女はたまに白石部長と話して幸せそうな顔する以外は、遠くから部長を眺めてるだけやった。

 で、そろそろ観察すんのも飽きてきた頃。
 部活休みの放課後、たまたま三年の廊下を通った時に彼女の後ろ姿を見つけた。

 ……何してるんやろ。

 そう思って彼女に声をかけようと近付くと、教室の中から白石部長と女子の楽しそうな声が聞こえた。またタイミングの悪い……柄にもなく同情なんかしてると、彼女が俺に気付いて振り返った。

 その顔は今までに見たことない、酷く悲しそうな表情。
 その顔を見て俺は驚いて息を飲んだ。あまりにも綺麗で。
 そして今までに感じたことのない色気。

 俺に気付いた彼女は一瞬戸惑った顔をしたが、すぐ笑顔を作り俺に挨拶する。
 しかし俺はそれどころやない。さっき見た彼女の表情が頭から離れへん。勢いのまま何も言わず先輩の手を引き、空き教室へ放り込んだ。

「……先輩、話したいことがあるんスけど」


prev next




back

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -