染まる視界
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いつだって、彼女の視界には青が写っていた。
青は所謂寒色系になる。
世間一般でいう温かみのない、冷たい色。
でも、少女にとって青は優しさの象徴だった。
だから、青が好きだった。
青は綺麗だ。
綺麗な思い出。
しかし、青かった視界は突如他の色に侵食される。
赤。
一面赤。
赤、赤、赤。
視界が赤く塗りつぶされていく。
「……さい……っ!……か……っ!!」
誰かが何かを叫んでいた。
必死に訴えていた。
逃げなければいけないと思った。
だから走った。
逃げた先で、伸ばされた腕は赤。
赤。
赤い色。
赤く、視界が染まる。
赤、赤、赤。
血のような
赤
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