[それでは第二問、お通ちゃんは初のライブの時、緊張のあまりさ]

まだ問題文が中盤に到達する前にバシンと勢いよくボタンを押した者がいた。

[親衛隊、タカチン氏!]

タカチン(雪成)だった。

(なっ……なんでお前が押してんだァァァァァァ!!お前は一番ありえねーだろォォお前は絶対何も知らねーだろォォ!!リア充みてェな雰囲気醸し出してるもの!!僕らの天敵オーラが出てんだよこちとら敏感に察知できんだよ分かってんだよォォ!!)

司会者の隣で試合を観戦している新八は、タカチン(雪成)のサングラスをつけた上で滲み出ているリア充オーラをその瞳に映し出し、ギリギリと歯軋りする。

(声気を付けるんだぞ)
(分かってますよ)

「おしっこ行っていいです門松は冥土の旅の一里塚」

(ただの小便かいィィィィ!!わざわざボタン押して何宣言してんだァ!!つーかちょっとヤクザにも見える奴が国語詳しい奴じゃないとわからないような諺出してきたよ!!インテリだ、インテリヤクザだ!!)

これはもう駄目だと二問目を諦めた新八だったが、正解の音がスタジオに響き渡った。

「正解ィィィ!!問題は"お通ちゃんが初のライブの時、緊張のあまり最初に客席に言った言葉は何?"答えは『オシッコにいっていいですか?』タカチン氏問題の途中で見事正解ィィィ!!」

(あ……当たったァァァァァァ!!なんでだァァァ!!タカチンの偽物の癖にお通ちゃんに詳しいじゃねーかァァァ!)

「スゴイアル!!よくわかったアルな先……タカチン」
「ヘイ、タカチンヘイ!!」
「これぐらい余裕だっつうの。もっと難しいのもってこいや」

(何者だ、一体何者なんだアイツぅぅ!!)

神楽に背中を叩かれ、銀時からハイタッチを促され、それに応じてパチンと手を合わせるタカチン(雪成)は普段よりも低めの声で観客や司会者に向け煽る言葉を放つ。それを信じられない目で見つめる新八。そして親衛隊チームが正解したので通選組の角度は上がる事になる。

「…………あのォ……お通ちゃん?……なんか気のせいか、俺だけ角度がキツい気がするんだけど……」

「銀時」
「んだよ、今勝負中だぞ」
「次の問題なんだが――」

近藤だけあからさまに角度が違う事に本人が控えめに抗議するが、それはスルーされた。第三問目に突入する。

「アレ無視?無視なの?」

[まずはこの映像をご覧ください]

液晶画面にとあるデパートのVTRが映った瞬間バシンと勢いよくボタンを押した者がいた。

[おおーっと今度も同じ親衛隊の坂田氏!!なんと映像も問題も進む前に早押しだァァ!]

銀時だった。

(はァァァァ!?なにしてんだあの野郎折角一歩リードしてんのに!!)

(万事屋ァ、タカチンの奴が上手く答えたからってオメーが調子に乗って足を引っ張っちまったら世話ねェぜ)

新八・土方共々、完全に銀時が答えられるはずが無いと高を括っている。

「ウォシュレッポールダンス!!」

[正解!]

(えええええええ!?)

[問題は"お通ちゃんがこの店で初めて買った品物は何?"答えは『ウォシュレッポ』でした!]

(そんなアイドルのいらねェプライベート公開すんなァァ!)

[親衛隊チーム見事連続正解です]

「銀ちゃんスゴイアルー!なんで分かったネ!」
「へーい、銀時へーい」
「俺の手にかかりゃこんなもんよ」
「あ!私もハイタッチしたいヨ!二人だけズルい!」
「お前なんも答えてねーだろーが!」

銀時とタカチン(雪成)が喜びのハイタッチをする姿に頬を膨らませる神楽。そして更に通選組の角度はキツいものになる。近藤だけ耐久ゲームと化していた。

「おい、耳貸せ」
「なに先生?」
「タカチンだ。次は――」

[では第よ]

「ホアチョォォ!!」

バシンと勢いよくボタンを押した者がいた。

[親衛隊破竹の勢い!神楽氏!……ってボタン壊れてますね、スタッフさん新しいのに取り替えてください]

神楽だった。勢いがよすぎてボタンから煙があがり破壊されている。

(クソッ!タカチンめ、俺の目は誤魔化せねェぞ!今のチャイナ娘とさっきの万事屋、問題の前になにか耳打ちしてやがった……!答えを教えてカンニングさせてるとしか思えねェ!……だが答えを教えているとしても、何故答えが分かっている?アイツは土壇場で万事屋が連れてきたただの替え玉の筈……)

(かかかか神楽ちゃァァァん!?君だってアイドルにもお通ちゃんにも興味無いよね!?そこらへんに生えてる雑草の名前よりも興味無いよね!!)

「カトちゃんぺったんこ餅つきー!」

[正解ィィィィ!!問題は"お通ちゃんがハナクソをほじってるのを友人に見つかった時何と言ってごまかしたか"正解は『カトちゃんぺ』です]

((え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!?))

異なる理由ながら見事百%シンクロした新八と土方。

(あの三人どうしてあんなにお通ちゃんに詳しいんだ、まさか隠れファンか!?僕のファン活動を最初に否定した手前銀さん神楽ちゃんは恥ずかしくて言えなかったのかァァ!?銀さんはこっそり余所のファンと交流してたのかァァァ!?)

[キャプテンがいなくてもまったく問題ない親衛隊、各々が見事問題を正解し華麗なる快進撃ィィ!!]

「五月蠅ェ!!今の言葉すっごい傷ついたわ!!」

「へい神楽へーい」
「がははは!どーよ私の腕前!」
「へいへいすげーなー」
「ちょっと銀ちゃん手伸ばすヨロシ!タッチできない!タッチー!うおおおお!!」
「南ちゃん?俺あんま好きじゃないんだよな」
「そのタッチじゃねェェェ!!」
「銀時、やってやれよ。ちゃんと答えてたろ」
「え〜〜〜〜」
「しゃあない、俺ともう一回だ」
「銀ちゃんのバーカ!」
「ハァ?!二回もやる意味ねーだろタッチすんな!!おいタカチン甘やかすな!!」
「お前が冷たいんだろ」
「あの原作者が書くキャラどいつもこいつも似たり寄ったりの顔でワケわかんねーアル」
「それ絵のタッチィィィ!!」

(なにあの和気藹々感。勝利目前で公式ファンクラブが近付いてるっていうのに敗北感があるんですけど。僕抜きでめっちゃ楽しんでんなアイツ等)

司会者から言われた言葉も相まってギザギザハートと化す新八。

「あーあー、つっまんねェ〜」
「ふあああ……」

「オイ!ちょっとは真面目にやれ、負けかかってんだぞ!」

「黙れ土方、一番先に負けたクソ野郎が俺に指図すんじゃねェ」
「あ、す、すみません副長……まったくやる気がでなくって……」

(近藤さんも動けない……不味い、このままだと……負ける!!)

通選組の沖田・山崎はクイズに答える気が皆無であり、近藤はボタンを押せるような状態ではない。しかし、奇跡は起きた。

「…………あの……お通ちゃん……あの、ひょっとして、俺のこと……嫌い?」

カチ、とお通が持つリモコンが操作され、ワイワイとタッチ談義をしていた親衛隊が座っていた三つの席が土方の時と同じように90度移動する。

[正解ィィィィィ!!答えは『生理的に受け付けない!!』通選組敗北寸前のところで大逆転んんん!!三本勝負一本目クイズ勝負は通選組の勝利ィィィ!!]

「何時の間に五問目に突入してたんだよ」

ずぶ濡れになったタカチン(雪成)が水面に浮かびあがり、銀時に肩を貸しながら司会者を見上げる。

[此処ではお通ちゃんがルールです。お通ちゃんが解答者の声を聞き『リモコンを操作する』という結果を作ってから『問題が出題された』という原因を作っているのです]

「何処の刺し穿つ死棘の槍!?」

新八のツッコミが入った直後に生放送番組はCMに入った。

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