気まぐれ部屋 | ナノ




「わあ〜〜〜!ねえねえアデル、あっち!あっち行ってもいい!?」
「構わんが興奮しすぎて転ぶなよ」
「大丈夫大丈夫!何年生きてると思っ」

べしゃんと豪快に転倒。

「……」
「……」

俺もジョジョも喋らない重苦しい空気に早変わり。わざとらしく溜息を吐けばジョジョは肩を揺らし、俺を見上げて目尻に涙を溜めている。

「怪我は無いな」
「うん……でも痛い……多分歩けない、ごめん」
「仕方がない、俺が抱き上げてやる」
「……良いの?折角綺麗な服なのに汚れちゃうよ」
「申し訳なく思うなら今度からは気を付けろ」
「はあい……」

ぱたぱたと出来る限り土埃を払ってから足を挫いたジョジョを抱き上げる。肩に顎をひっかけたジョジョは見るからに落ち込み鼻を啜っていた。

「ぐしゅっ」
「公園で遊びたかったんだろう、そんなんじゃ楽しめないぜ」
「だって」
「じゃあ承太郎の家に戻るか?」
「ううん」

ようやくSPW財団の施設からの外出を許され、空条家に泊まれたのだ。出かけること自体久しぶりなのだからこの程度で挫けて出戻りなどジョジョも嫌だったのか直ぐに首を横に振られる。

「……ブランコ、乗ってくれる?」
「隣にか」
「同じ奴!」
「俺の体重だと壊れるんじゃないか……?」
「その分僕は軽いから大丈夫だよ!」
「……構わんぞ」

いざという時の弁償費分の金は持っている事を確認し、頷く。ジョジョは途端に笑顔になり元気になった。

「遊びに行っても君は何時も見てるだけだから……」
「ああ、つまらなかったのか」
「違うよ、寂しかったの!」
「最初からそう言え。どうせ深夜だ、何をしていても目撃者は少ない」
「だって君は正真正銘大人じゃないか」
「貴様と違ってか。ふん、くだらないな。成人した後でも童心に帰って玩具で遊ぶ大人がどれほどいると思っている」
「ありがとう、アデル」

玩具に興味は無いが、お前が喜ぶならその程度なんだってやってやる。


prev / next

[ back to top ]



×