気まぐれ部屋 | ナノ




初めまして、アデルです。

見た目は少女ですが、実はわたし、世に言うロリ婆って奴なのです。
年齢的にはロリおばさんと言うのが正解なのですが、ロリ婆の方が分かり易いと思うのでそっちを採用しました。
色々と至らない点は沢山ありますけれど、わたしのパートナー達がフォローして下さるのでそこはご安心を。彼らはとても頼りになるポケモンです。

……ふう〜、挨拶ってこんな感じで良いのかな。
それにしてもお腹減った。
前世と比べれば毎日運動してるから痩せてるし、まだ成長期だからかお腹がどんどん減る。お金はあんまり無いけど、優しい先輩たちからのお恵みがあるので心配はない。本当、良い人たちです。なんでロケット団なんかに入ったんだろ。

【ニャ、ニャアッ!】
「あ、ヤーさん、わざわざ“ねこにこばん”をしてくれたんですか。ありがとうございます」

わたしはポケモンに対して、基本的に敬語を使う。
何故かと言わればわたしはこう答える。
「勿論、彼らを尊敬しているからです」――と。

『犬は自分の友を愛し、敵に噛み付く。純愛が不可能な人間とはそこが違い、人間は愛と憎しみがいつも混ざり合う』

前世の時、どこかで誰かが言っていたような、なにかの本で読んだような、その言葉をわたしは覚えていた。
ポケモンも犬や動物と同じなのだろうと、頭の良くないわたしは思ったから。
わたしが転ぶと、自分が転んだわけでもないのに慌てる彼らがとても愛おしいから。

そう言うと先輩達は大抵、自分のベルトに付けているモンスターボールへ目線を向けるけれど、あれは何なのだろう。
まあ、偶にある「ポケモンは道具だろ?それ以上でもそれ以下でもない」という人よりはマシ。

わたしの手持ちポケモンはたったの2匹。
最弱のポケモンと名高い、幼き日父と共に行った釣りで釣ったコイキングと。
ピクニックで御飯を食べている最中におにぎりを落としてしまい、そのおにぎりを拾って食べ、それからちょくちょく会うようになりいつの間にかボールに入っていたニャースと。

……って、あれ。

「これ、全部で222円……!キリ番ですよヤーさん!凄いです!」
【ニャァ……】

あれっ?呆れられた?
わたし、本気で凄いと思ったんですけど……凄くないのかなぁ?

「どう思います、キングさん」
【……】

おや、昼寝の途中でしたか。すいません邪魔をしてしまって。
ふわ……あ……ああ、なんだかキングさんを見てるとわたしも眠くなってきた。ほんのちょっとだけ、寝てしまお、う……か……

 * * *

【ちょっとキング、アンタ狸寝入りしてたでしょ】
【言いがかりはよしてくれ。オレは寝てたぞ】
【嘘おっしゃい。全く……まあ、あんな猿芝居に騙されるアデルもアデルだけど。アンタは跳ねる事しか脳がないんだから、バトル以外に何か頑張りなさいよ】
【……五月蠅いなァ。お前はオレのオカンかよ】
【ちょっと。タチの悪い冗談は止めて。こんな出来の悪い馬鹿息子なんか死んでもお断りよ】
【こっちの方こそお前みてえなチクチク細けェことを気にする姑タイプの雌なんてお断りだ】

【……アンタ、表でなさいよ】
【ハッ、やんのか】
【サカナはネコに食べられる運命なのよ】
【ざァんねん。オレたちコイキングは不味くて、とてもとても食べられないのでェす】



魚がカタカナなのは前世の知識で魚を知ってるアデル経由からの又聞き曖昧な知識だから。コイキングやトサキント=魚、ニャースやニャルマー=猫、と認識。


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