シロクマとグリズリー

ともだちのつもり

シロクマとグリズリーさんは、「夕方の畳の上」で登場人物が「ゆるす」、「ビール」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai shindanmaker.com/28927



 さっきまで畳の上に寝そべって仰向けになっていた彼が思い出した、と言うなり焦点の定まらない目で見てくるからシロクマは少しだけ窮した。どうしたの、グリズリーくん。穏やかな声色を打ち破るように彼はくどくどとその思い出したこととやらをご丁寧に聞かせてくれた。ものの半分位は聞いていなかったのだけれど、どうやら大体自分に対する積年の恨み言だというのはわかった。
「もう許してよ、友達でしょ」
「許さねえ」
 ああ腹が立つ、お前は昔からそうなんだよ、簡単に許されると思ってるところも気に食わねえ。きょうの彼はどうやらだいぶ酒が進んでいたことも手伝っていつもより気難しい。ううん、とシロクマは少し悩むふりをして、手近にあったビールを彼に勧めた。ほら、これで許してよ。グリズリーが買ったビールだ。いつもはウィスキーやバーボンを飲むけれど、こんな夏の夕方には缶ビールもいいもんだとかなんとか言っていた気がする。押し付けられた缶に目を細めてから、余計に彼は眉間の皺を寄せた。
「馬鹿か、これ俺が買ったやつじゃねえか」
「そうだよ、ほらもう早めに許してよ」
「あからさまに面倒くさがるんじゃねえ……」
 憤慨する彼の言葉尻が怪しくなってきた。そろそろ終わりかなあとシロクマは自分の杯を進める。ゆるすもゆるさないも最初から無いだろうに。そんなことを思うと少し笑いがこみ上げるから、彼が目を覚ます前に何か悪戯でもしてやろうか。どうせやるなら、今よりとびきり笑えるのがいい。


17th.Feb.2013

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