■ 絵本2
受付にいる人に聞けば、あたしの国の物語もあるかもしれない。そう言われたけれど、そんな勇気もなくてフラウラさんの隣へ。
絵本の棚は、可愛らしい色で溢れていて。
少し、眩しい。
本棚を眺めていると、フラウラさんが一つの絵本を渡してくれた。
それはあたしの国の絵本で。
書かれている絵が、懐かしい…。
そのまま、受付で二人で本を借りて外へ。あたしとは別の方へ行くみたいだから、門の場所でさようなら。
走ってお家まで帰って、お店を開ける前だった兄様に、本を読んで頂戴と少し我が儘を言ってみる。
「仕様のない子だね…。いいよ、おいで」
目を細めて兄様が笑う。
昔々、ひとりの女の子が居ました------……
でも、短い絵本はすぐに終わってしまって。
「…めでたしめでたし」
兄様のそんな声と共に絵本は閉じられた。
「さぁ、お店の用意をしなくては、ね?」
絵本をあたしに返して兄様が困ったように笑う。
これ以上兄様を困らせたくなくて、うんと頷いて本を持って自分の部屋に着替えに行く。
絵本を机の上に置いてから、着替えをしてお家からあまり遠くはないお店へと向かった。
相変わらず、兄様のお店はごちゃごちゃしていたけど。
やっぱり、きれいな物語よりは、こっちの方があたしに似合ってると思った。
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