■ 雨と傘。
優しいエルフさんとお友達になれた。
素敵なおじ様から、橙色の傘を借りた。
あの日は、曇っていて。降りそうな、降らなさそうな、ぐずぐずした天気。
お店に来るお客様の数が少なくなるこんな日は、決まってあたしの仕事はお休み。
「シャオ。出掛けるのなら、傘を持って行きなさい」
お散歩に行こうとしたら、兄様にそう声を掛けられた。
はぁい、と返事だけは元気良く。すぐに帰るつもりだったあたしはそのまま外に飛び出した。
けれど。街を回って、教会で少し休憩しているうちにいつの間にか雨が降り出していて。
始め、あたしはそれに気が付かなかったけど、あたしの後に教会に来た人に教えてもらった。
フラウラさん、と言うらしい。
あたしの尻尾と耳が珍しいのだと言っていた。不思議だわ。あたしには当たり前の物だから。
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