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「千鶴さんって呼んでもいいですか?」


にっこり笑ってどうぞと言う私。
一世一代の大演技だと思う、だって本当は嫌だから。
というかさっき普通になまえさんの前でそう呼んでいたはずだ。



大好きななまえさんと仲良く会話する彼女。
まるで魅了するようにその服を纏ってなまえさんの横にいる彼女。

嫌いになるには十分すぎることだった。


新選組にいるほとんどの人がなまえさんに想いを寄せている。
だからきっと、沖田さんとか黙っていないんだろうな…。


「えっと、廻谷さん?」

「心って呼んでください。」


「…じゃあ心さん、この服って異国の服ですか?見たことないんですが…。」


珍妙なるこの服。
この服で男の人を魅了するのか。
なまえさんがその餌食になってしまうのは嫌だな…。


「異国といえば異国なんですけどね、信じてもらえるかはわからないですけど私未来から来たんですよ。」


えへへと頬を掻きながら言った。
そうか、近藤さんやなまえさんはそれを信じたのか。
二人とも優しいから放っておけなかったんだろうな、でも私は騙されないもの。

あなたは私から大切なものを奪っていくかもしれない人物だから。


「そうなんですか、あ、帯きつくないですか?」


このまま締め上げて息ができなくさせてあげたい。


「大丈夫です、そういえばなまえさんって女の人みたいですよねー。
私最初に会ったとき女の人か男の人かわからなかったですもん!」


なまえさんの名前が出た瞬間思わず手に力を込めてしまいそうになった。
確かになまえさんは整った顔をされてるし女性と見間違えても可笑しくない。
でもなんだかその言葉、なまえさんのことを狙っているようにしか聞こえない。
あの人がとても純粋できれいな方だから、ただそれだけで選んでいる気がして仕方ない。


このまま殺して震えながらなまえさんを呼んで。
殺されそうになりました、って言ったら信じてくれるかな?


「でも私の扱いひどいですよね、おいとか、女とか。
最初なんて奇怪な女とか、阿呆な女とか言われたんですよー!
千鶴さんからも何か言ってやってください!」


私なんて最初は口もきいてもらえなかった。
なまえさんは女性が苦手だったから、だけど私が頑張って頑張って、やっと認められて。
声をかけてくれたり、名前で呼んでくれたりしたのに…。

あなたは何も努力せずにそれを取った。


「なまえさんは、いい方ですよ。きっとまだ会ったばかりだから警戒してるんだと思います。」



ですよねー私怪しいですもん!
なまえさんがこの部屋の扉を開けて初めてあなたを見た時からそんなこと知ってますよ。


嗚呼、私こんな性格だったかな?



壊れていくのは誰のせい?


後で沖田さんに伝えよう、名前で呼び合うんだって。
きっとあの女は“キケン”だって。






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