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「ありがとう千鶴、ついでと言ってはなんだがこいつに着せてやってはくれないか?着物の着方を知らないらしい。」
「えっと、千鶴?さん?ごめんなさい、私浴衣くらいしか着たことないんだ。」
千鶴は具合が悪いのか?
先ほどから顔色が悪いみたいだ、無理に頼まず俺がやったほうがいいだろうか…。
「はい、わかりました。」
千鶴はすぐに無理をするからな、やはりここは言うべきか。
まぁこの女は嫌がると思うが。
「千鶴、具合が悪いのか?無理なら俺がこいつに着せる。」
「え!?嫌ですよ、他に女性はいないんですか!?」
やはり嫌がるか。
そんな足やら出してたら裸見せても恥ずかしくないだろうが。
「安心しろ、お前の体に興味はない。」
「嫁入り前の女の子に何てこというんですか!ねぇ千鶴さん!失礼だと思いません!?」
何故そこで千鶴に話をふる。
千鶴の顔色、どんどん悪くなっているな。
やはりやめとくべきか。
「千鶴に話を振るな、馬鹿女。」
「なまえさん、私なら大丈夫ですからお気になさらず…。」
千鶴の顔色はまだ悪い。
うーん、風邪でもひいたか、腹を下したか。
どちらにせよ千鶴の身に何かあったら大変だが、一応あれも女だしここは千鶴に甘えよう。
「悪いな、礼と言ってはなんだが今度歳三さんに許可を得てから団子を食いに行こう。
こいつの面倒を見るということを引き受けたのは何を隠そう給料が上がると兄上に言われたからなんだ。
だからその祝いに奢ってやる。」
千鶴の頭をぽんぽんと撫でて笑うと、顔色がよくなった気がする。
やはり千鶴の笑顔は可愛いな、妹のようだ。
「それじゃあ俺は廊下にいる。おい心、お前の部屋を教えるから終わったらさっさと呼べよ。
あと、千鶴はお前と違って淑やかな女だからな。変な影響を与えるなよ。」
なまえさんうるさいです!と怒られた俺は千鶴の部屋から出て戸を閉めた。
女の準備は遅いんだと、前兄や他の奴らからも聞いたことがある。
「……まぁ、気長に待つか。」
見上げた空は長閑だった
今日の晩飯は何かなー…。
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